プリウスの売れてる理由と飛び道具
N-BOXが日常の使い勝手を徹底的に追求したクルマなら、プリウスは少々方向性が違う。
1997年に「21世紀に間に合いました。」というキャッチコピーとともに初代が登場して以来、プリウスはハイブリッドカーの代名詞的存在となった。
しかし5代目となる現行プリウスは、歴代モデルから大きく方向転換している。最大の飛び道具は、何といってもスタイリングだ。
低く構えたボディ、寝かされたフロントウインドウ、滑らかにリアへ流れるシルエット。従来の「燃費をよくするための合理的なカタチ」というイメージから一転し、「このデザインだから欲しい」と思わせるクルマになった。
トヨタが現行プリウスで掲げたのが「一目惚れするデザイン」と「虜にさせる走り」である。この考え方こそ、5代目プリウスを理解するうえで重要だ。
いまやトヨタにはヤリス、ヤリスクロス、カローラシリーズなど多くのハイブリッド車が存在する。「ハイブリッドだからプリウスを買う」という時代ではなくなった。
だからこそプリウス自身が「プリウスを選びたい」と思わせる魅力を持つ必要があった。そこで武器になったのがデザインと走りなのである。
現行プリウスの2Lハイブリッド車は、燃費性能だけではなく動力性能にも力を入れている。アクセルを踏み込んだ時の加速は歴代プリウスのイメージ以上に力強く、燃費のために走りを我慢するクルマではなくなった。
もちろんプリウス本来の武器である低燃費も健在で、現行モデルのカタログ燃費はWLTCモードで25.9~32.6km/Lの範囲となる。
そしてZとGに採用される195/50R19という大径タイヤも、現行プリウスを象徴するアイテムだ。
19インチという数字だけを見ればスポーツカーのようだが、タイヤ幅は195mm。細幅大径タイヤを採用することで、燃費性能とスタイリング、走行性能をバランスさせている。
安全運転支援システムToyota Safety Senseも搭載され、プリクラッシュセーフティなどの予防安全機能も充実している。
では価格はどうか。現行プリウスの価格帯は301万6200円~464万5300円となっている。
ハイブリッド車に加えてプラグインハイブリッド車も設定されており、単なる「燃費スペシャル」ではなく、デザイン、走り、環境性能まで含めたクルマへと変貌している。
現行プリウスの飛び道具とは、もはやハイブリッドシステムだけではない。「燃費がいいから仕方なく選ぶ」のではなく、「カッコいいし走りもいい。そのうえ燃費までいい」というクルマへ変わったことこそ、現行プリウス最大の強みなのだ。
プリウスの意外な弱点とは
燃費がよく、デザインもカッコいい。走りも歴代プリウスから大きく進化した。そんな現行プリウスだが、オーナーの口コミやネット上の評価を見ていくと、意外な不満点も浮かび上がってくる。
まず挙げられるのが、スタイリッシュなデザインと引き換えになった乗降性だ。
現行プリウスは低いルーフと大きく寝かされたフロントウインドウによって、歴代モデルとは明らかに違うスポーティなプロポーションを実現している。
カッコよさでは文句なしだが、その反面、乗り降りの際には頭を低くする必要がある。とくに後席は、背の高い人や高齢者を頻繁に乗せるなら購入前に実車で確認しておきたい。
さらに運転席まわりでは、7インチTFTカラーメーターについて「画面が小さい」という声がネット上で見受けられる。
メーター自体はステアリングの上から見るトップマウント方式で、速度表示などは視線移動が少なく確認しやすい。しかし、7インチというサイズだけに、表示される情報によっては文字やグラフィックが小さく感じられるというユーザーもいる。
メーターの見やすさはドライバーの体格やシートポジションにも左右されるため、一概に欠点とはいえないが、試乗時にチェックしておきたいポイントだ。
装備面では、グレードによる差も意外と大きい。
たとえば大型パノラマルーフは最上級のZにしかメーカーオプション設定されていない。また夜間に先行車や対向車へ光が当たる部分を自動的に遮光するアダプティブハイビームシステム(AHS)もZに標準装備で、GやUはオートマチックハイビーム(AHB)となる。
「Gで十分だけど、この装備だけは欲しい」という選び方ができないケースがあるわけだ。
なお、ネット上には「シートヒーターはZにしか付かない」という情報も残っているが、これは現行モデルには当てはまらない。現在は前席シートヒーターがZだけでなくGにも標準装備され、Uにもメーカーオプションで用意されている。
もうひとつ購入後に気になる可能性があるのがナビである。
現行モデルのコネクティッドナビは初度登録日から5年間無料だが、6年目以降もコネクティッドナビを利用する場合は有料となり、利用料金は月額880円である。
「クルマを買ったのに、ナビを使い続けるために料金がかかるの?」と違和感を持つ人はいるかもしれない。長期間所有するつもりなら知っておきたいポイントだ。
そしてZとGを購入する際にぜひ確認しておきたいのが、195/50R19というタイヤサイズである。
19インチの大径タイヤは現行プリウスのカッコいいスタイルを成立させる重要なアイテムであり、細幅大径タイヤによって走行性能と燃費性能の両立も図っている。
その一方、一般的なタイヤサイズと比較すると交換時の価格や選べる銘柄は確認しておきたい。スタッドレスタイヤへの交換を考えている人なら、なおさらである。
さらにトヨタの取扱説明書では、195/50R19タイヤ装着車について、タイヤとボディの間に十分な隙間が確保できないためタイヤチェーンを取り付けないよう明記されている。雪国のユーザーはもちろん、冬にスキーや温泉などへ出かける人にとっては、意外と重要な弱点だ。
こうして見ると、現行プリウスの弱点は、クルマとして致命的なものというより「カッコよさや先進性を優先した結果として生まれたもの」が多い。
低くスタイリッシュなボディだから乗降性では不利になる。19インチタイヤだから見た目は抜群だが、タイヤ交換や雪道対策には気を使う。そして装備内容によってはZを選ばなければ手に入らないものもある。
それでも現行プリウスが魅力的なのは、こうした弱点を承知してでも「このデザイン、この燃費、この走りが欲しい」と思わせる力があるからだろう。
何でもできる万能な実用車から、多少の弱点があっても欲しくなるクルマへ――。それこそが5代目プリウス最大の変化なのかもしれない。
【画像ギャラリー】N-BOXとプリウスの売れてる理由と意外な弱点を写真でチェック!(9枚)画像ギャラリー












コメント
コメントの使い方