塗装や操縦だけが、ホビーの醍醐味ではない。背景を添え、光を灯し、ときには車内の造形に見入る。全日本模型ホビーショーの京商ブースには、完成品だからこそ気軽に踏み出せる遊びの入口があった。コレクションとの付き合い方を変えるヒントを、会場で探ってみた。
文:ベストカー編集部 鈴村朋己/写真:貫井 宙
【画像ギャラリー】ハマり方は無限大!! 京商が取り扱う&これから登場するバラエティ豊かなミニカーたちを一挙大公開!!!!!(71枚)画像ギャラリーイマイチ魅力が伝わりにくいミニカー遊び
幼い頃、親に買ってもらったミニカーを机の上で走らせた。教科書の間は細い路地になり、鉛筆を並べればサーキットができた。小さなタイヤの向こうには、いつだって自分だけの世界が広がっていた。
やがて遊び道具は、収集の対象へと変わっていく。憧れの1台を探し、ケースに収め、ときどき眺めては頬を緩める。実車では叶えられない夢を手元に置ける。その所有欲が満たされることこそ、ミニカーを集め続ける理由だと思っていた。
けれど、その楽しさを誰かに伝えようとすると、案外言葉に詰まる。プラモデルには組み立てや塗装があり、R/Cカーには操縦やセッティングがある。自分の手を動かし、その結果を味わえる。
一方で、完成品のミニカーは、買った時点ですでに美しい。だからこそ、「買って眺めるだけ?」と聞かれると、その先をうまく説明できなかった。
ホビーを関係を取材し始めて約4年。これだけ好きなのに、まだ伝えきれていない面白さがある。そのもどかしさを抱えながら歩いた全日本模型ホビーショーで、ひとつの答えに出会った。
足を止めたのは、京商のブース。大小さまざまなミニカーが並ぶ光景はおなじみだが、今回は1台ずつを見るだけでは終われなかった。クルマのまわりに広がる風景まで、つい目で追ってしまったのである。
小さくたってクオリティは怠らない
まず引き込まれたのは、1/64スケールの展示だった。場所を取らず、何台も並べやすいのがこのサイズの魅力。ただ、小さいぶん、細部の再現には限界があるだろう。そんな先入観を、目の前のクルマたちは軽々と飛び越えてきた。
その表情を変えていたのが、「MOTN(モトン)LEDベースシステム」に対応したミニカーたちである。専用の給電ベースに台座ごと載せると、ヘッドライトやテールライトが点灯する。
また、本システムはワイヤレス給電を採用しており、車体自体をモトンLEDベースシステムの真上、もしくは一定の給電範囲内に近づけるだけでLEDが点灯する仕組みになっている。小さなライトに明かりがともる。それだけで、置かれていた模型が、エンジンをかけて出発を待つクルマに見えてくるから不思議だ。
グループAを戦ったR32型スカイラインGT-Rたちも、ジオラマと組み合わされることで、レースの一瞬を切り取ったような姿になっていた。聞こえるはずのない排気音まで、頭のなかで響き始める。
光れば何でもリアルになるわけではない。ボディの輪郭やカラーリング、足元の佇まいが整っているからこそ、そこにともる光が効く。小ささは妥協の理由ではなく、風景ごと楽しむための強みになるのだと気づかされた。
その面白さを、さらにわかりやすく見せてくれたのが『頭文字D』の劇中車たちだった。2027年1月発売予定のトレノ(AE86)、RX-7(FD3S)、サバンナRX-7(FC3S)、インプレッサWRX(GC8)。4台が連なり、ドリフトでコーナーを駆け抜けるように配置された展示は、漫画やアニメで胸を熱くした場面を思い起こさせた。
車体の向きや前後の間隔が変われば、追う側と追われる側の緊張感も変わる。お気に入りの1台を飾るだけでなく、その1台にどんな役を演じてもらうか。そう考えた瞬間、ディスプレイは物語づくりになる。ライトを点灯できるMOTNとの組み合わせも、夜の峠を想像するには打ってつけだった。
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