マツダマツダ3ファストバック
自動車デザインはグローバル化が激しく進み、同時にどんどん洗練化されている。未熟なチャレンジは世に出なくなってきた。未熟なチャレンジとは、たとえばかつての三菱ミラージュ・ディンゴ(前期型)みたいなヤツのことです。
マツダのデザインは洗練系の最先端。で、マツダがマツダ3で行ったチャレンジは、「洗練の極致を目指す」というものだった(たぶん)。自動車デザインはどこまで洗練できるか? 機能を満たした上でどこまでアートに迫れるか!? という挑戦とでも言いましょうか。
たとえばマツダ3ファストバックのリアピラーは、どこまで「なにもしない」でインプレッシブにできるかというチャレンジだったのではないか。
実際まじまじと見ても、折り目もキャラクターラインも皆無。ひとつづきの面でどこまでも滑らかに仕上げられている。実はそれが一番難しいことなのだ。サイドのインバース(凹面)も、見たことがないほど大胆かつシンプルだ。
トヨタヤリス
全世界の自動車デザインが洗練へと向かう中、ヤリスのデザインはどう見ても洗練されていない。その時点でチャレンジングだ。
まずフォルム。サイドから見ると、へっぴり腰の出っ尻で、どうにも不格好だ。お尻がコロンと丸まっているのに、けっこう高く持ち上がっていて、重心が後ろに寄って腰が引けているように見えるでしょ?
GRヤリス(3ドア)のような、後ろ下がりで最後に小さく跳ね上がるようなルーフ形状にすれば、簡単にバランスが取れるが、5ドアのヤリスは、そこまで後席の居住性を割り切れなかった。それでいて後席は広いとは言えないのだから、狙いがよくわからない。
サイドには、大げさでこれ見よがしのオーバーフェンダー的なエグリが入り、顔もグラフィックがやたらとデコラティブ。
こういうエグ系のデザインは、数年前までは世界的な主流だったが、近年のトレンドは「シンプル&ソフィスティケイテッド」。つまり、遅れてきたチャレンジャーという気配は濃いのだが、それだけに目立っている。
テスラサイバートラック
欧米メーカーでは、デザインのシンプル&ソフィスティケイテッド化が激しく進行していて、チャレンジングと言えるデザインはほとんど姿を消しているが、そんな中、ウルトラ超ダントツにチャレンジングなのがこれだ!
なにせ、デザインにまったく機能性がない。わざとメチャメチャ下手クソに直線を引いてデザインしたみたいで、それによって激しい違和感と強烈なインパクトを醸し出している。
たとえば前後のオーバーフェンダーなども、わざと前後の形状を下手クソに不揃いにしている。わざわざ子供が描いたみたいな形にしているのだろう。「この形でマトモに走ること自体が違和感のカタマリ」と思わせるのだから、チャレンジここに極まれり!
それでいて、つい引き込まれてしまうのは、子供が描いた絵みたいな稚拙さに、ある種の懐かしさがあるからかもしれない。すさまじいまでの逆張りデザインである。
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