■トヨタ アクア 2017年7月の月販台数9,940台
人気の高いハイブリッド専用車で、軽量なボディによってJC08モード燃費は売れ筋のSやGが34.4km/Lに達する。全高は1455mmと低めだから、低重心になって走行安定性も優れている。5ドアクーペ風の価値観を併せ持つ。
その代わり後席は窮屈だ。天井が低いために腰の落ち込む座り方になり、足元空間も不十分で、大人4名の乗車は可能だが圧迫感が伴う。全高が低く、しかも天井を後ろに向けて下げたからから荷室の容量も乏しい。これらの欠点も5ドアクーペ風だ。
取りまわし性では、サイドウインドーの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたから、斜め後方の視界が悪い。真後ろのリヤウインドーも上下寸法が不足している。
緊急自動ブレーキを作動できるトヨタセーフティセンスCは、単眼カメラと赤外線レーザーを併用しながら、ブレーキだけでなく警報も含めて歩行者を検知できない。
2017年6月にマイナーチェンジを実施しながら改善を施さなかった。トヨタの傘下に入ったダイハツの軽自動車が採用するスマートアシストIIIと比べて、機能は明らかに見劣りする。
■トヨタ プリウス 2017年7月の月販台数8,340台
ハイブリッドの主力車種で、現行型はJC08モード燃費が売れ筋グレードで37.2km/Lに達する。数値上はコンパクトで軽いアクアを上まわる。世界的に見ても最高峰の低燃費車だ。新しいプラットフォームを使って走行安定性と乗り心地を向上させ、ノイズや振動も抑えた。
注意したい欠点は、まず後席の座り心地だ。足元空間は広いが、頭上は狭めで腰の落ち込む座り方になる。天井を後ろに向けて下降させた外観が災いした。
A以上のグレードでは、前席の中央に位置するフロントコンソールトレイが乳白色になって洗面台を連想させる。ブラックの内装ではコントラストが強すぎるから、A以上では比較的明るいクールグレーの内装色を選びたい。
視界については、サイドウインドーの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたから斜め後方が見にくい。リヤウインドーも見やすいとはいえない。
走行安定性と乗り心地は、先代型に比べれば向上したが、欠点を改善したに過ぎない。走りの優れたクルマとはいえない。
■トヨタ C-HR 2017年7月の月販台数8,070台
SUVは人気のカテゴリー。C-HRはハイブリッドとガソリンターボを用意しており、トヨタ系列の全店(4900店舗)が扱うこともあって売れ行きは好調だ。販売ランキングの上位に入る。
人気の秘訣として個性的な外観を挙げられるが、後席側のサイドウインドーが極端に狭いから、斜め後方の視界は劣悪だ。開発者は「トヨタの社内的な視界の基準を辛うじてクリアできた」という。
従って車庫から後退しながら出庫する時などはバックモニターに頼る。この視野角度は人間の視覚よりも狭いから、バックモニターだけを見ていると、車両の左右から接近する自転車などを見落としやすい。安全面を考えると非常に好ましくないボディ形状だ。
後席に座ると足元空間が少し狭い。サイドウインドーの面積も乏しいから閉鎖感が一層強まった。また外観の見栄えを優先させた結果、後席の外側のドアノブが高い位置に装着されて小柄な子供などには使いにくい。
エンジンと駆動方式は、1.2Lのターボが4WD、ハイブリッドは2WDのみで硬直化している。価格帯も高めで、1.2Lターボに2WDがあれば、230万円以下に設定できただろう。
また1.2Lターボの動力性能は、自然吸気のノーマルエンジンでいえば1.8Lクラスになる。4WDの搭載と相まって車両重量は1470kgに達するから、十分な動力性能とはいえない。
ヘッドランプの組み合わせにも不満がある。価格を抑えたターボのS-TとハイブリッドのSでは、ヘッドランプがハロゲンのみだ。C-HRにハロゲンヘッドランプというのは非現実的だろう。
ハイビームLEDヘッドランプをオプション装着するには、上級のG-TかGを選ぶ必要があり、価格はG-Tでも277万5600円、Gは290万5200円と高額だ。グレードや装備については、かなり不親切なクルマになっている。
☆ ☆ ☆
以上、いろいろ挙げさせていただきましたが、どれもいい車であることに違いはありません。
あくまで「ここが気になる人は別の候補もあるよ」という指摘となります。売れてる車を「売れているから」という理由だけで選ばないよう、ご注意ください!
コメント
コメントの使い方