ヤリスクロスの走行性能がすごい!! SUVなのにハンドリングが一級品!

さらに引き上げたのは「接合技術」

 しかし、ヤリスクロスのハンドリングは、車体の補強だけでは出すことができない。車体を大きく進化させた、最も大きな要因は「接合技術」だ。理想的な連続溶接に近づけるため、スポットの打点のピッチを狭め、かつ、より連続的に接合したいバックドアなどの開口部には、構造用接着剤が用いられている。

理想的な接合は、パネル同士が連続体となる状態だが、コストをかけられないBセグメントのヤリス(ヤリスクロス)には、高価な連続溶接の採用は難しかった、という

 ヤリスクロスを担当した、車体設計エンジニアによると「ハッチバックの場合、リア開口部はどうしても変形が大きくなり、それがクルマ全体の動きに悪影響を及ぼす。しかし、必要な剛性を確保するために、リアにレインフォースを追加していくと、ステアバランスを崩してしまう。」

 「そこで、構造用接着剤を使用し、振動減衰を狙った。これによって、動的な質感がぐっと向上した。」

 必要なのは「剛性の高さ」ではなく、「剛性の質感」だったのだ。

新しい製造方法には、生産部門の全面的な協力がないと実現しない 技術的には素晴らしくても、安定した生産が難しい構造や工法ではモノにならないのだ

 こうした「構造用接着剤」は、メルセデスやBMWといった欧州トップメーカーが、積極的に導入している。日本の自動車メーカーでも、ホンダやスバル、一部の日産車(GT-R)でも使われているが、TNGAをきっかけとして、大々的に取り入れているのが、トヨタだ。

欧州コンパクトSUVといざ勝負!

 ヤリスクロスのメイン市場は、日本と欧州だという。ライバルは、フォルクスワーゲンT-CROSSやアウディQ2、ルノーキャプチャーといった、強豪ぞろいの欧州コンパクトSUV達だ。

 依然として、欧州車の性能の壁は高い。大雨の影響で、試乗会の際には、ヤリスクロスのすべてを味わうことができなかったが、ヤリスクロスがどこまで食い込めているのか、今後の公道試乗がとても楽しみだ。

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