ヤリスクロス&ハリアーで盤石!? トヨタSUV包囲網完成で国産他社に勝ち目はあるか

 ライズ、ヤリスクロス、新型ハリアーなど人気車を相次いで投入! トレンドのSUVを強化するトヨタに国産他社の対抗馬は?

 今まさにトレンドのカテゴリーといえばSUV。近年、国内外を問わず多彩な新車が相次いで投入されてきている。そうしたなかでも、顕著なのがトヨタだ。

 2019年に国内市場へRAV4が復活、人気を集め、小型なライズも投入。2020年6月には人気モデルのハリアーをモデルチェンジし、8月31日にはヤリスクロスが正式発表されるなど、トヨタのSUVラインナップはサイズ・特長も多彩で綿密になっている。

 果たして、国産他社のSUVに付け入る隙はあるのか。モデルごとに検証していきたい。

文:渡辺陽一郎
写真:トヨタ、日産、スバル、スズキ、マツダ、ホンダ、奥隅圭之

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トヨタのSUVモデル群はシティ派から本格派、サイズの大小も充実

初代RAV4(1994年~2000年)

 以前のSUVは本格オフロード派が中心だったが、1990年代中盤に初代RAV4などが登場して、次第にマイナーな存在になった。

 そして今は前輪駆動ベースのSUVが人気のカテゴリーになり、トヨタは2016年12月に発売したC-HR以降、SUVラインナップ構築に乗り出した。国内販売を一度終えたRAV4も復活させて、好調に売れている。

2019年に復活した現行型RAV4

 トヨタSUV軍団の特徴は、コンパクト/ミドル/Lサイズのそれぞれに、シティ派とラフロード派を設けることだ。トヨタならハリアーやC-HR、ホンダはCR-Vやヴェゼル、マツダならCX-5やCX-30という具合に、シティ派が大幅に増えた。

 この反動もあって、最近はSUVの原点回帰が見られるようになり、外観を悪路走行をイメージさせるデザインに仕上げたラフロード派のライズやRAV4が人気を高めた。

 そのために前述の車種構成が求められ、トヨタはそれを実践するわけだ。SUVの需要を一網打尽にする戦略ともいえる。

ライズの販売は好調で、1月~2月・6月と登録台数首位にたった

 2020年1~7月に国内で販売された新車のうち、31%をトヨタ車が占めた。軽自動車を除いた小型/普通車に限れば48%に達する。綿密なSUVのラインナップは、トヨタだから構築できる。

 そうなると今後のSUV市場は「トヨタSUV軍団VS他メーカー」の構図だ。本格オフロード派のランドクルーザーと同プラドは、実質的にライバル車は不在だから、シティ派とラフロード派で激しいバトルが展開される。

小型SUVのライズ&ヤリスクロスを脅かすライバルの実力は?

新型ヤリスクロスは8月31日に発表し、9月上旬発売する

 コンパクトサイズから見ていくと、シティ派のヤリスクロス(価格は2WD・Zのノーマルエンジン:221万円/ハイブリッド:258万4000円)に挑むのは、日産 キックスとホンダ ヴェゼルだ。

2020年6月に発売開始したキックス

 ヤリスクロスは、ライバル2車に比べると全長が100~150mm短く、後席と荷室も狭い。その代わり走りが軽快で、WLTCモード燃費は2WDで見るとノーマルエンジンが19.4km/L、ハイブリッドは31.1km/Lと優秀だ。

 価格はライバル2車の同等グレードに比べて15~20万円安い。従って後席と荷室の広さを重視しない場合、ヤリスクロスは楽しく使えて維持費や価格は割安だ。

ヤリスクロスの荷室は、ヤリスと比較すると広めに設計されている

 また5ドアハッチバックのヤリスに比べると、荷室が広がって外観の存在感も強まり、パーキングブレーキの電動化など装備も充実させて、価格上昇を17万円程度に収める。

 一般的にエンジンやプラットフォームを共通化したSUVの価格は、5ドアハッチバックに比べて30万~40万円高いから、ヤリスクロスはベース車と比べても買い得だ。

ライズ(2WD Z:206万円)

 コンパクトなラフロード派のライズ(2WD・Z:206万円)は、全長が4m以下で5ナンバーサイズに収まるSUVだ。エンジンは直列3気筒1Lターボを搭載することもあり、価格はヤリスクロスよりも安い。

 ライバル車も大幅に限られ、売れ行きは絶好調だ。2020年1~6月の小型/普通車販売ランキングでは1位になった。

ライズと同程度のサイズではクロスビーがあげられ、軽SUVであるハスラーと似ているデザイン

 ライズと同程度のサイズで5ドアボディのSUVでは、スズキクロスビーが挙げられる。フロントマスクは軽自動車でSUVのハスラーに似ており、空間効率を重視したクルマ造りも同様だ。

 クロスビーの後席は、ライズに比べて圧倒的に広く、ファミリー指向も強い。

 その代わりライズの外観は、コンパクトでもSUVの典型的なパターンだ。運転しやすくて経済的なSUVが欲しいならライズ、実用的なハイトワゴンにSUVのカッコ良さを加えたいならクロスビーという選択が成り立つ。

ミドルクラスではC-HRはXVやCX-30と競合

C-HR(2WD G-T:271万5000円/ハイブリッドG:304万5000円)

 ミドルサイズでシティ派のC-HR(価格は2WDでノーマルエンジンのG-T:271万5000円/ハイブリッドG:304万5000円)のライバル車は、全長が4.4m前後のSUVだ。マツダCX-30とスバルXVが該当する。

 C-HRはライバル2車に比べると、鋭角的な外観に特徴がある。後方視界は劣悪だが、遠方から見てもC-HRと即座に認識される。後席と荷室は、CX-30を含めてあまり広くない(XVの後席は広い)。

 C-HRの1.2Lターボと1.8Lハイブリッドは、動力性能は平均的だが、走行安定性と乗り心地のバランスは優れている。シティ派ながら、足まわりはSUVらしく柔軟に伸縮する。

XVはインプレッサスポーツをベースにしたSUVで、ありがちな腰高感を感じない

 XVはインプレッサスポーツをベースにしたSUVだから、柔軟な印象は乏しいが、200mmの最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)を確保しながら走行安定性も良好だ。SUVにありがちな腰高感を意識させない。

SKYACTIV-Xを搭載するマツダCX-30

 CX-30はエンジンに特徴があり、クリーンディーゼルターボや火花点火制御圧縮着火方式のSKYACTIV-Xを搭載する。後者は価格が320万円以上と高いが、運転感覚は良好だ。

新しいRAV4&ハリアーは競争力も高い

ハリアー(2WD G:341万円/ハイブリッドG:400万円)

 Lサイズのシティ派はハリアー(価格は2WDのノーマルエンジンを搭載するG:341万円/ハイブリッドG:400万円)。

 売れ筋の価格帯が340~500万円に達する高価格車だから、マツダ車で吊り合うのはCX-5ではなくCX-8だ。

乗り心地はハリアーと比較すると、同等もしくはCX-8が有利

 内外装は、一般的にいえばCX-8よりもハリアーが上質だが(CX-8はフロントマスクに高級感が欲しい)、居住性は3列目シートも備えるCX-8が快適だ。

 乗り心地は同等か、CX-8が優れている。カーブを曲がる時などの運転感覚はハリアーが軽快だが、直進時を含めた安定性はCX-8も高い。

 そしてハリアーにはハイブリッド、CX-8にはクリーンディーゼルターボがあり、意外に競争しにくい。

CR-V(2WD 336万1600円/e:HEV 447万400円)

 CR-Vもハリアーのライバル車だが、内装の質が低い。例えばインパネに入るステッチ(縫い目)は、コンパクトなヴェゼルも本物の糸を使うのに、CR-Vは模造だ。

 価格は最も安い1.5Lターボの2WD・EXが336万1600円、e:HEV(ハイブリッド)の4WD・EXマスターピースは447万400円と高価だから、もっと上質に造り込む必要がある。

RAV4 Adventure(4WDガソリン車 331万円/ハイブリッドG・E-Four:402万9000円)

 Lサイズのラフロード派はRAV4だ(価格は4WDのノーマルガソリンエンジンを搭載するアドベンチャー:331万円/ハイブリッドG・E-Four:402万9000円)。

 4WDの機能を充実させたノーマルエンジン車の排気量が2Lに収まることもあり、価格は比較的求めやすい。最も安価な2WD・Xは274万3000円と安い。

モデルチェンジが期待されるエクストレイル

 その意味ではライバル車の筆頭は日産 エクストレイルだ。ボディサイズはRAV4と同等で、アウトドアを感じさせる。荷室の機能などエクストレイルが勝る点もあるが、走行安定性はRAV4が高い。

 フォレスターも同様にRAV4のライバル車になり得る。ボディサイズは同等で、現行型では悪路走破力も高めた。

 水平対向エンジンによる低重心が特徴で安定性が優れ、主力エンジンは2.5Lだから加速力にも余裕がある。フォレスターは地味だが買い得感が強い。

◆  ◆  ◆

ランドクルーザープラド(2020年ディーゼルエンジン改良)

 このようにトヨタSUV軍団の基本設計は、本格オフロード派のランドクルーザー&プラドを除くと全般的に新しい。そのためにバトルはトヨタにとって有利に展開しそうだ。

 エクストレイルが次期型にフルモデルチェンジされると、イメージもかなり変わる。またLサイズのシティ派も、販売面ではハリアーの独壇場になっている。

 トヨタは小型/普通車で50%近いシェアを持つメーカーだけあって、価格を含めた商品力の高い車種をそろえる。そこに挑む他メーカーは、自社の商品に磨きをかける必要があり、緊張感の伴う競争関係が生まれてSUV市場全体が魅力を増していく。

 トヨタが睨みを利かせてこそ、日本の自動車市場は好転するのだ。優しく物わかりの良いトヨタであってはならない。

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