「ホンダS2000」という奇跡 なぜ復活待望論が叫び続けられるのか

■スポーツカーとして最後まで進化を続けた

 投入1年後の2000年には、新たな取り組みとして、可変ギアレシオステアリングのVGSを装備したタイプVを追加。

 その後、機能向上だけでなく、サスペンションの再チューニングやホイールの大径化、アクセルのドライブ・バイ・ワイヤー化、ギアレシオの見直しなどスポーツカーとして走りの魅力の追求を続け、2009年に惜しまれつつも生産を終了した。

 生産が終了した当時、最終型の新車はかなりの高値を付けていたことを記憶している。これにより再びホンダからFRモデルが失われることになった。

 そんな失意のホンダスポーツカーファンを歓喜されたのは、2015年に登場したS660の存在だろう。

 奇しくも本田技術研究所設立50周年を記念した新型車の社内コンペ大会がきっかけで世に送り出された軽自動車スポーツカーは、ホンダのピュアスポーツと同じ“S”名を継承する一台だ。

S660
S660

 S660は、現代の新しいスポーツカー像を提案しただけでなく、ホンダはまだスポーツカーを諦めていないという希望を与えてくれた。それだけに、Sシリーズの続編に期待してしまうのは、私だけではないだろう。

 NSXやシビックタイプRはもちろんホンダを象徴する1級のスポーツカーだが、S660の面白さや完成度の高さからホンダのFRに再び乗ってみたいと感じたのも本音。

 何度となく「S2000復活!」というニュースが自動車専門誌に取り沙汰されるのも、(実際にホンダ社内で開発プランが浮上する、しないにかかわらず)こうした待望論が日本の車好きのあいだで語り継がれているからこそ……という背景が大きい。

 こんな時代だからこそ、ホンダらしい夢を再び見せて欲しいものだ。

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