■続々と大メーカーの後追いが登場しジャンル確立
トヨタもこの流れを追撃、より街乗りを意識した作りのRAV4を1994年5月に発売。
扱いやすいサイズと洒落たスタリングはエスクードのコンセプトと共通していたが、こちらはモノコックボディで開発され、より乗用車ライクな仕立てであった。CMキャラクターに“キムタク”ことSMAPの木村拓哉が起用した広告戦略も話題となった。
さらに当時オデッセイなど新ジャンルの開拓に熱心だったホンダも追従を見せ、シビックベースに開発されたモノコックボディを持つCR-Vを投入。
これによりライトクロカンのカテゴリーが確立され、現代の街乗り主体としたライトなクロスオーバーSUVの流れへと繋がっていく。
どちらも共通するのは、FFベースでありながら、発売当初は4WD車のみだったこと。当時の意識として、クロカンを名乗る以上4WDはマストという考えだったのだろう。
トヨタ、ホンダといった大手メーカーの参入により、エスクードの存在感は薄れてしまったが、結果としてこのカテゴリーは世界的ヒットとなり、初代エスクードは135万台を生産。同路線のRAV4とCR-Vも同様に世界戦略車として成功を収めていく。
初代エスクードが「クロカン」の名に恥じないタフでラフなオフロード性能を与えられていたことは、今となってはやや過剰、オーバースペックとも思える。
現代において、クロスオーバーSUVの多くの車種での販売の中心はFF仕様だし、省燃費&安全装備がウリとなっている。
しかしその本物志向こそがエスクードの成功につながり、日本に「ライトSUV→クロスオーバーSUVは信頼性が高い」という土壌、基礎的な意識を根付かせるキッカケとなったのではないだろうか。
そう考えるとエスクードが果たした歴史的な意義は大変大きい。
なお、本稿は全体のトーンとして「故人を偲ぶ」みたいな雰囲気が出てしまっており大変恐縮だが、現在もエスクードは現役車種として活躍している。
ハンガリーの工場で生産され、日本には輸入車というかたちで導入されており、2017年7月には1.4Lの直噴ターボを搭載した仕様が発売された。
スズキは今も、個性的なクルマを作り続け、新たなカテゴリーの開拓を模索し続けている。
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