手軽に買えるスポーツカーが減るなか、コツコツとブラッシュアップを続け日本のコンパクトスポーツの中心にいるのがスズキのスイフトスポーツ。
コンパクトボディながら作り込まれた足回りで、サーキットでの走りも楽しめる日本のホットハッチがターボになって進化。その乗りアジをレーシングドライバー松田秀士さんがインプレッション!!
文:松田秀士/写真:藤井元輔
ベストカー2017年11月10日号「NEWスイスポはNo.1ホットハッチか?」
■軽量化とワイドトレッド化で先代を上回る動力性能
新型スイフトスポーツで真っ先に気になったのは、新たにターボ化されたエンジン。1.4L直噴ターボのK14C型エンジンはエスクードと同型だが、スイフトスポーツでは、ハイオク化とターボのウェストゲートバルブをノーマルクローズ制御としたことで、アクセル全閉から全開にした時の過給応答性(2000回転時で0.17秒)がアップ。
しかも、970kg(MT車)という軽自動車並みに車重が軽いため、その加速感は刺激的。車体のフロント側が持ち上がり、身体がシートに押し付けられるのをはっきりと感じることができる。
エンジンはエスクード用に比べると、全体にトルクもパワーも厚盛りだが、特に最大トルクの23.4kgmを発生する2500回転手前から鋭く立ち上がるのが特徴。
3速2000回転が40km/hだが、ここからアクセル全開にした時の加速感が頼もしい。ワインディングも含め3速ギアでの加減速がとても楽しめ、スイフトスポーツが得意とするコーナー速度はほとんどこの3速でまかなえる。
特に、3500回転以上で引っ張る時の加速と伸び感は、先代にはなかった力感がある。
ハンドリングに関して先代1.6L、NAエンジンのいいところは、アクセルオフ時のエンジンブレーキによるタックイン。新型もアクセルオフのレスポンスは悪くはないが、そこはやはりターボ。
オン・オフのアクセルワークを使うコーナリングメークは先代のNAエンジンほどのアレンジングはない。しかし、動力性能が格段に上がったことで、そこを完全にカバーしているといえる。コーナーでオン・オフしなくても、コーナリングが一発で決まる。つまり、狙ったラインが読めるのだ。
その理由のひとつがワイドトレッド化。もちろん、プラットフォームは新型スイフトと共用だが、トレッドは前後ともに先代スイフトスポーツ比プラス40mm(新型スイフト比でプラス30mm)とし、ホイールベースは先代スポーツに比べてプラス20mm(新型スイフトと同じ)としている。
これによって、旋回性能と直進性を上げているのだが、とても感心したのがステアリングのニュートラル域のしっかり感で、これが欧州プレミアムスポーツ並みにしっかりとしている。
このフィーリングは速度を問わない。微小舵域までしっかりとEPs(電動パワステ)のプログラミングを煮詰めたということで、前後モンロー製ショックと剛性をアップさせたリアのトーションビームサスペンションによってすばらしいハンドリングに仕上がっている。
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