新車では価格が高い輸入車も、中古車なら手が届くモデルが多くなる……なんてのんきに言ってはいられない! 在庫の枯渇や価格の高騰などから中古車でももうすぐ買えなくなるかもしれない、クルマ好きなら一度は憧れたハズの「名」輸入中古車トップ20をご紹介! 購入やお店選びのポイントも伝授!
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※本稿は2020年10月のものです
文/伊達軍曹、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2020年11月26日号
■価格高騰 在庫枯渇…手に入れるなら今!の魅力的輸入中古モデルたち
20位のフィアットパンダ4×4は、最近のクルマでは珍しい「小ぶりかつシンプルであること」が魅力。そして19位のVWタイプ1(通称ビートル)も究極のシンプル系である。
さらに18位の初代ルノーカングーも、その後のカングー、それに最近のシトロエンベルランゴでは味わうのが難しいシンプルな軽やかさに満ちている。
17位の初代アウディTTは、走りは2代目以降のほうが断然いいが、デザインの完成度では初代に軍配が上がる。
そしてやたらとハイテクになった昨今のクルマに胸焼けのようなものを感じるなら、16位のシトロエンGSや15位ボルボ240エステートのような「アナログのよさ」が強く感じられる往年の一台で、心の消化活動を促進したい。
14位のVWゴルフカブリオクラシックラインは、初代ゴルフと2代目ゴルフのコンポーネントをミックスして作られた4座オープン。
現代のオープンカーとはずいぶん異なる角度のウィンドウと、まるでアコースティックギターのようなエンジンがひたすら気持ちいい。
13位のスマートロードスターには「これならホンダS660でもいいじゃん?」という意見もありそうだが、デザイン面ではこちらの圧勝だと筆者は判断する。
そして12位の初代フィアットパンダは、御大ジウジアーロがデザインした小型ハッチバック。
キャンバストップである場合が多いルーフから入るノイズや風は、まるで田舎の家の縁側で、夏に虫たちの声を聴きながら涼んでいるかのようだ。
11位のE36型BMW M3は、走行性能でいうなら、当然だが現行M4クーペのほうが5億倍くらい上である。
しかしやたらと肥大化し、コンピュータづくめとなったM4では味わえないサムシングが、シンプルで小ぶりだったこの世代のM3にはあるものだ。良質な中古車の流通量が少ないのが玉にキズだが。
■ランキング・トップ10は?
10位から8位は、いわゆる「珠玉のV6」を搭載していたアルファロメオ(147GTA、GTV、156GTA)。
時代の影響を受け、ある程度エココンシャスとなった近年のアルファロメオ製エンジンと違い、この世代までのV6はガソリンとオイルは正直けっこう消費するのだが、そのぶんだけの快感をドライバーに与えてくれる背徳のユニット。
コレの味わいを知らないまま運転免許を返納するという愚だけは、どうか避けていただきたい。
クルマというものを安全かつハイスピードで運行させたい場合には、最新世代の一台を選ぶにかぎる。
だが「プリミティブな(原始的な)ドライビングの歓び」こそを感じたいのであれば、7位の元祖ミニあるいは6位のシトロエン2CVを選ぶにかぎる。
両車とも、今となっては笑ってしまうほどシンプルなメカしか使用していない(特にシトロエン2CV)。
頭脳と身体という人間特有の財産をフル活用しながら活発に走らせるミニと2CVは遅いが、こと“プレジャー”という点では現代のクルマの比ではない。
ある種の偉大な世界遺産であり、昨今は両モデルとも中古車相場がカチ上がっている。
5位のランチア デルタ インテグラーレは、エンジンの魅力だけでいうと往年のアルファV6ほどではないのだが、世界ラリー選手権で獲得した神話性とデザインのカッコよさ(男子のハートをつかむ力)に関しては銀河系内でもトップクラス。
中古相場は高騰しているが、今後はさらに高騰するはずなので、買える値段であるうちに買っておきたい。
4位の先代メルセデスベンツGクラスのショート版は、同世代のロング版や、現在新車として売られているGクラスでは絶対に味わうことができないカジュアル感と軽さが最大の魅力。
これをラフに乗りこなせる男は相当カッコいいし、モテそうな気がする。
3位のフェラーリF355については言わずもがなであろう。いかにもフェラーリ然とした可憐な造形。
ターボエンジンとは何もかもが違う、最高の音色を伴った自然吸気V8エンジン。
ぜひもう一度新車として出してほしいものだが、無理なので、我々はその中古車を探すしかないのだ。
自然吸気エンジンならではの魅力といえば、2位の先代メルセデスべンツC63 AMGもまさにそれだ。
ほぼレーシングスペックともいえる6.2LのM156型自然吸気V8エンジンは、猫も杓子もダウンサイジングターボとなった今だからこそ注目したい珠玉の名機(ただし自動車税はけっこう大変)。
そして1位にはタイプ964のポルシェ911を置いたが、これは「便宜上」である。
1位は964の1コ前の930でも、1コ後の993でもいい。とにかく「空冷エンジンを搭載していたポルシェ911」は、当たり前だが新車としては二度と手に入れることができず、そしてクルマ好き(あるいは運転好きや機械好き)であれば99.9%の確率で虜になること間違いなしの“味”を備えている一台。
これまた、免許を返納するまでの間に一度は乗ってみるべき、中古でしか買えない世界遺産だ。
【番外コラム】輸入中古車購入、店選びのポイント
「輸入中古車販売店の選び方」は、それだけで本を1冊書けるくらいの複雑かつディープな議題だ。
しかし、極力シンプルに“コツ”みたいなものをお伝えするとしたら、「展示車両のタイヤを見よ」ということになるだろう。
ロクでもない輸入中古車というのはたいていの場合、前オーナーや前々オーナーがロクでもなかったということだ。
自分のクルマに愛もお金もかけずに荒っぽく扱い続けた結果、ロクでもない中古車が完成するのである。
で、そういったダメ系輸入中古車の展示状態におけるタイヤは、多くのケースにおいて「山が極度に減ったままになっている」「車格に合わない謎のアジアンタイヤを履いている」「1輪だけ別銘柄」などの問題を抱えている。
そういった個体を平気でそのまま展示しているタイプの販売店は、「君子危うきに近寄らず」の精神でパスするのが正解となるのだ。