■トヨタプログレ 1998年5月〜2007年8月
プログレは直列6気筒の2.5Lと3Lエンジンを搭載するミドルサイズの高級セダンであった。全長が4500mm、全幅が1700mmのボディは、水平基調でシンプルなデザイン。
「物足りない」という声もあって後にフロントマスクを豪華にしたブレビスも追加するが、プログレは威圧感を周囲に与えない貴重な高級セダンだった。
ボディサイズが適度で視界と見切りが良いから、狭い裏道や駐車場でも運転がしやすい。採光が優れているために車内は明るく、柔軟な乗り心地と相まってリラックスできる快適性を備えていた。
走行安定性はいま一歩だったが、そこは現代の技術で快適性との両立を図れる。今後は高齢のドライバーも増えるので、安全に直結する視界の優れた適度なサイズの高級セダンが欲しい。
逆に後方を含めて視界の悪いクルマは、どれだけ安全装備が充実していても「本質的に安全なクルマ」とはいえない。この観点で判断すると、メルセデスベンツやBMWにも落第する商品が多い。
そしてプログレの外観は、今でも古さを感じさせない。それは視界が良くて運転がしやすいという、人が扱うクルマにとって普遍的な価値を備えているからだろう。
(編集部註:本企画にご満足いただいた方は、兄弟企画である「10年早かったクルマたち」もぜひご覧ください)
コメント
コメントの使い方