2017年も多くのクルマが登場し、多くのクルマが生産を終了しました。こうした市場の新陳代謝もいいけれど、たまには「去っていったクルマたち」のことも思い出したい。
なかには「あの時は早かったけど、今あのクルマがあれば!」というクルマだってあるはず!
本企画では今からちょうど10年前、2007年に販売していたモデルのなかで、現在すでに生産中止となっており、後継車といえるようなモデルも存在しないクルマのなかで、「2017年に売っていればもうちょっと売れているのでは」というクルマたちを渡辺陽一郎氏に選んでいただき、その理由とポイントをまとめていただきました!
去っていったクルマたちのことも、時々でよいので思い出してゆきましょう!
文:渡辺陽一郎
■それでもそれほど「新陳代謝」が起きていない国内市場
10年前、つまり2007年の国内の自動車販売総数は535万台であった。本稿を執筆している2017年12月下旬時点では、2017年の正確な台数は分からないが、昨年の実績などから考えると525万台前後と想定される。
過去を振り返ると、国内販売総数はバブル経済の絶頂期となる1990年の778万台をピークに、ほぼ一環して下がり続けた。そして2005年には585万台を売ったが、2006年は574万台、そして2007年には前述の535万台に急落した。
この後、2009年にはリーマンショックの影響で461万台に下がり、2011年には東日本大震災に見舞われた。今でも被災地では復興が進んだなどとは呼べない状態で、原発の問題も未解決だ。
最優先すべき課題が進捗していないのに、自動車産業を云々するのは不謹慎に思えるが、そこをお許しいただくくとすれば、この10年間は販売面で変化がほとんどない。
背景にはリーマンショックが商品開発に与えた影響も大きい。この経済不況を切っ掛けに、国内向けの新型車開発がいろいろと凍結された。
国内市場を重視してこそ、海外の人達から見ても日本の自動車メーカーだと認識されるが(海外では日本で売っている車種の方が評価が高い)、実際はそうならない。市場規模が小さくて縮小傾向にあることから、真っ先に切り捨てられる。
■「日本向け」のクルマたちが不遇に見舞われた10年
例外は軽自動車で、小型/普通車を穴埋めする意味もあり、特に最近は新型車の投入と商品改良が活発だ。2007年は軽自動車の販売比率が増え始めた時期で、新車販売総数に占める比率は約36%。2017年と同程度になる。
つまり販売面から眺めると、この10年間は軽自動車と小型/普通車の比率まで含めて変化がないのだ。
そこで、本企画では2007年当時のラインナップを振り返りたい。意外に魅力的なのに、時期尚早だったこともあって市場の評価を得られなかった車種が散見される。
また相応に人気を得ていたのに、メーカーが国内市場を軽く見たことで廃止された車種もある。
大半の車種に共通するのは、国内向けに開発された商品であることだ。つまり時期尚早だったのは、それだけ国内を見据えていた証でもあっただろう。
その意味では2007年の販売総数が今と同程度でも、メーカーの国内市場に対する思い入れは、今よりもはるかに強かった。2017年には、時期尚早に思えるクルマすら発売されなかった。
国内向けは手堅いフルモデルチェンジとか後継車種が中心で、多少なりとも新鮮味が伴うのは、すべて海外向けになってしまう。
メーカーの皆さんには、この後で取り上げる車種をご覧いただき、有意義な挑戦と失敗があったことを思い出していただきたい。
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