日本車の長寿化が著しい。かつては判で捺したように4年でモデルチェンジしていたが、開発費の高騰などによって、10年以上存続するモデルもちらほら出ている。
しかし、10年まったく変わり映えしないと、さすがにまるっきり売れなくなる。それを救うのがビッグマイナーチェンジだ。もはやビグマイチェンは、かつてのフルモデルチェンジくらいの重みを持っている。
そこで、2020年秋以降にビッグマイチェンを敢行した4モデルについて、そのデザインチェンジぶりをチェックさせていただきましょう。お邪魔しま~す。
文/清水草一
写真/NISSAN、HONDA、LEXUS、MITSUBISHI、平野学、奥隅圭之、中里慎一郎
【画像ギャラリー】ビッグマイチェンを敢行した4台とフルモデルチェンジしたN-ONEの新旧モデルを画像で比較!!
■日産エルグランド
ビッグマイチェン:2020年10月12日
総評/改良されたがパンチ不足
デザインチェンジ成功度/70点
国産大型ミニバンの草分けだった日産エルグランドだが、トヨタアルファード軍団に完膚なきまでに叩きのめされ、現行の3代目の登場からすでに10年余。土俵際で繰り出した今回のビッグマイチェンの効果は果たしてどうか?
まず現行エルグランドのデザインだが、大型ミニバンとしては異例の、踏ん張り感の強いスポーティなもので、故・前澤義雄氏(元日産チーフデザイナー)も高く評価していた。いわば玄人受けのデザインだが、全高の低さによる室内の狭さや押し出しの弱さによって、販売ではアル/ヴェルに決定的な敗北を喫してしまった。
そこで、2014年のビッグマイチェンでは、グリルをバンパー下まで伸ばして、当時の最大面積にまで拡大。これで一瞬盛り返したものの、すぐに元の木阿弥に戻った。
今回のビッグマイチェンでは、その巨大なグリルをさらに強調すべく、一枚岩化している。マイチェン前は横桟で微妙に分割されているように見えたのを、「どーん!」と鎧みたいにしたわけです。
前澤さんが生きていれば、「コケオドカシだ」と言ったかもしれないが、ある意味シンプルでもありますし、印象は悪くないです。
ただ、これでインパクトが強まったかと言えば、効果は限定的だ。まとまりはいいんだけど、現行アルファードが登場した時のような「うげぇ!」という強烈さには程遠い。厳しい言い方をすれば、ムダな抵抗でしょうか。
でも、エルグランドの操縦性は、相変わらずアルファードよりいいと思うのです。走りにこだわるミニバン好きなら、アルファードよりエルグランド! そんな人いないか……。
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