無骨で四角いボディに高い車高、オーバーフェンダーとビッグサイズのオフロード用タイヤを装着し、フロントにはウインチを付け、野山や砂漠を駆け抜ける――。90年代に一世を風靡した、クロカンSUV(当時はRVといっていた)。
SUVの主流が、流麗なプロポーションのクロスオーバーSUVである現代に、これらのクロカンを見かけると、実に新鮮でカッコイイと感じる。実際に、アウトドアブームも手伝って、ファッション感覚で古いクロカンに乗る若者も多いようだ。
今回は、90年代に活躍したクロカンSUVを、国産車を中心に振り返ってみようと思う。SUVが大流行してる現代だが、今回取り上げたクルマはすべて、国内ではすでに絶版となってしまっている。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、NISSAN、MITSUBISHI、ISUZU
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トヨタ ハイラックスサーフ
90年代クロカンでまず外せないのが、トヨタ「ハイラックスサーフ」だ。ピックアップトラックのハイラックスをベースにしたモデルであり、凛としたフェイスや、おしゃれなボディデザインで、当時の若者たちに大人気となった。90年代に発売されていたのは、2代目のN130系(1989~1995)と、3代目のN180系(1995~2002)だ。
V6エンジンを搭載し、マルチモード4WDと呼ぶセンターデフ付パートタイム4WDを備えるなど、走りのポテンシャルも高く、評判も良かった。テレビCMでは、BGMにSTOMP(楽器を使わずに道具や手足を使って音を出す)を採用し、若いダンサーたちがクルマの周りを踊りまわる、という演出が新鮮で印象的だった。
日本では、2009年にランドクルーザープラドに統合されるかたちで、販売終了となったが、海外では、現在も通算5代目が「4Runner」という名称で販売されている。
日産 テラノ
そのハイラックスサーフ最大のライバルが、日産「テラノ」だ。ピックアップトラックであるダットサントラックをベースとするクルマで、90年代に発売されていたのは、初代テラノのWD21型(1986~1995)と2代目のR50型(1995~2002)。ちなみに2代目テラノは、95~96年の日本カーオブザイヤー特別賞を獲得している。
キャッチコピーは「100分の1から1000分の1秒へ」。スカイラインGT-Rにも搭載されていた4WDシステムである、最新のオールモード4×4を備えており、走行条件に応じて前後輪のトルク配分を100:0から50:50(直結)の範囲で制御、ハイラックスサーフよりもオフロード走行性能は優れていた。CMソングは、電気グルーヴの「シャングリラ」。コチラも若者をターゲットにしたクルマであった。
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