室内の複数の乗員の声を聞き分ける技術もある
カーナビなどを音声で操作できるようになって随分立つが、アップルのCarPlayやAndroid Autoなどの車載アプリによって、カーナビ以外の用途にも音声操作が利用できるようになった。
今後、自動運転技術の導入が進むと、走行中に様々な用事を音声で操作する機会も増えることになるだろう。そうなってくると、現在よりも音声認識のレベルを高めることも求められる。現在でも、クルマの走行音や周囲の環境音などで正しく音声を認識してくれないことは多い。
サプライヤーのなかには、この車内での音声認識の精度を高めようとして新技術を開発しているところもある。電子部品メーカーのJRCは数年前の展示会で開発中の音声認識支援システムを公開していた。
これは走行音などのノイズ成分をして、音声だけを信号として入力することにより、認識の精度を高めるもの。ヘッドフォンなどに使われるノイズキャンセリング機能を音声入力側に利用したものと考えれば分かりやすいだろう。
さらに複数のマイクを使い指向性を利用することでドライバーとそれ以外の乗員の音声も区別して、ドライバーの音声だけを認識して抽出することにより、音声認識の信頼性も高めることができるものとしていた。
これはBluetoothでスマホとペアリングすることにより、スマホの音声入力としても使うことを想定しているが、車両側のコントロールにも利用することは可能だろう。
これが実用化されれば、走行中に音声による操作を利用する際にも乗員は黙る必要なく、おしゃべりしたままでドライバーがクルマに指示を出すことができるのだ。
ウインドウに様々な情報を映し出す技術も
自動運転車では、周囲のクルマや歩行者などに対して、ドライバーの意思やクルマの動作を伝えやすくなると言われている。これも前述の音声による操作により、様々な表示を可能になると考えられているからだ。
合わせガラスの中間膜を生産している積水化学では、断熱やUV、IR(熱線)カット、防音など中間膜に様々な機能を盛り込んでいるモノを用意しているが、HUD(ヘッドアップディスプレイ)の映像を表示することができる中間膜も開発している。
現在はHUDの表示部分に偏光フィルムなどを貼ることで見えるようにしているが、将来的にはプロジェクターのい光が当たればウインドウのどこでも表示できるようになる。それもフロントウインドウだけでなく、リアウインドウにも採用すれば、後続のドライバーにも色々な情報を伝えやすくなる。
サンキューハザードなどの判断が分かりにくい合図も、リアウインドウに「サンキュー!」や「ありがとう♪」のサインを大きく表示することができるようになれば解決されるのだ。
ガラスの厚さを調整したり、ボディ側への工夫など採用に向けてはフィルム側だけでなく、周辺分野の研究開発が必要だが、近い将来にはこれも実用化される技術だろう。
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