伝統の名サーキット、富士スピードウェイの本コースで年に2回開催される「エコカーカップ」。そのメインレースである3時間耐久レース(チャレンジ180)に、毎回マヌケな成績ながら「今回こそは」と挑戦し続けるベストカーチーム。
クラス(車種)の異なる総勢53台が出走し、レースと燃費値で競われるこの「カラダ(速さ)とアタマ(燃費&規定タイム)」競争、果たして結果やいかに??
知性派モータージャーナリストの鈴木直也氏と竹平素信氏に、ドライバー兼レポーターとして出走してもらったので、以下レポートをお届けします。
文:鈴木直也、竹平素信、ベストカーWeb編集部
■一周3分15秒で回ることの難しさ 鈴木直也
今回で3回目のエントリーとなるエコカーカップ。さすがに3回目ともなると走り方のコツもわかってくる。
さらに、今回は助っ人としてあの「竹ちゃんマン」(竹平素信氏)も参戦。以前の2回は基準ラップタイム(3分15秒)を下回ってしまい、ペナルティを食らっての惨敗だっただけに、汚名返上を期した大事な戦いとなったわけだ。
予選を無難にこなし、スタートからの第一スティントを担当するぼくは、コドラとなる竹ちゃんマンとともにコクピットへ。スタートシグナルとともに数台をパスし、中段グループの前の方でレースが始まった。
さすがラリードライバーだけに、コドラの竹ちゃんマンからの指示は適切だ。「もうちょい抑えろ」とか「オッケー、もう余裕」とか、トラフィックの混みあった序盤は、こういう指示がホントに助かる。じょじょに、ラップタイムを目標の3分15秒に近づけてゆく。
ところが! ここでまたしてもスケベ根性が出てしまったのだ!

竹ちゃんマンから「ぎりぎりオッケー」の指示が出たあと、最後の直線でちょっとアクセルを踏みすぎて痛恨の3分15秒切り! ま~たしても痛恨のペナルティを食らってしまったのだ。
今回は、このペナルティがあっても総合16位(出走53台)と健闘(レース13位、燃費23位)。タラレバでもしノーペナルティだったら総合11位。シングルフィニッシュも夢ではなかったと考えると、すっごいクヤシイしみんなに申し訳ない。
ワタクシ鈴木直也、もう一回チャンスが与えられたら、今度は絶対10位以内でのフィニッシュをお約束いたします!
(編集部注/なお次回のエコカーカップは2018年8月18日(土)に開催決定。4月11日よりエントリーが開始されます http://www.japan-racing.jp/fsw/18/hv.html )
■プリウスの燃費と安定性にびっくり 竹平素信
いやいや、じつに久しぶりのエコカーカップだったが(竹平素信氏は10年以上前にエコカーカップの前身であるエコカーレースに参戦(惨敗)経験あり)、今回も勝つ難しさを思い知ったな。mあ、ぶっつけ本番だから当然の結果なんだが、イベントそのものはけっこう楽しめたぞ。
今回の参加車は現行プリウス。もちろん完全ノーマルだがタイヤの内圧を上げたり、余分な搭載物を降ろしたりで少しはヤル気をみせた。プリウスはデビュー時にチェックしただけだったので、それを富士スピードウェイの本コースで走らせられるというのだから、期待も大きかった。
実際にコースを攻めてみると、ハンドリングは旧型に比べればはるかにいい。エコカーカップに参戦しているデミオのディーゼルやフィットハイブリッドに比べると、ちょっともの足りない。そのぶん燃費性能は抜群なので、これは足回りをちょっと自分好みに変更すればすごくよくなるのではないか。
それとめったにテールハッピーしない安定感はサーキットのビギナー向けにいいのではないか。
ただ一点、今回はレギュレーションでドライバーチェンジの際にエンジンカット→エンジン再スタートという作業が必要だったのだが、アナログ人間のワシにはプリウスのエンジンカット→再スタートのハードルが高かった。
エンジンが切れているのかどうか、ちゃんとかかっているのかどうか、それが分かりづらいのだ。1秒を争うレースの途中で、この「迷い」が何度もタイムロスを生んでしまった。
これは、急いで乗り降りする老人も同じ問題に直面しているのではないか。
期せずして、高齢化社会における最新型車両への操作不備の問題に気づいてしまったレースだった。もっと分かりやすくしてほしい。そうすればもっとタイムを縮められます。