人は常軌を逸した大きいものには無条件で畏怖の念を抱くものである。工場萌えなんてのはその最たるものだろう。あの威容を目の前にすれば、人間のちっぽけさを思い知らざるを得まい。
路上を走る自動車の場合、道路運送法による規定で最大サイズが定められているために、常識外れの大きいヤツは存在できないが、公道を走らない乗りものならば驚くべき巨大な乗りものが世界にはあるのだ。
文:ベストカー編集部
初出:ベストカー2017年4月10日号
■全高13.4m、全長27.4m。4階建てビルのような船舶用ディーゼルエンジン
世界最大級のエンジンはフィンランドのバルチラ社製の「バルチラ-スルザーRTA96-C」なる船舶用2サイクルユニフローディーゼルエンジン。
全高は実に13.4mもあり、これは4階建てビルに匹敵する。上の写真は工場からの出荷シーンだが、ほぼビルディング。
直列14気筒でボア=960mm、ストローク=2500mmで最高出力は11万ps……というけれどまったくイメージできません。
■宇部興産ダブルストレーラー
上の写真を見ていただきたい。横を走るクルマは一般的な4ドアサルーンなのだが、このクルマがいなかったら、なかなかサイズ感が把握しづらい。
アメリカあたりの巨大トレーラーかと思えば、これ、山口県宇部市を拠点とする宇部興産の社内専用道路を走るトレーラーなのでありました。
沿岸部の宇部市内にあるセメント工場と石灰石を積み出す山間部の同県美祢市を結ぶ、全長31.94kmの宇部興産専用道路を、石灰石やセメントの半製品クリンカー、石炭などを満載して走る輸送車両なのだ。
牽引するトラクタにトレーラー2両連結で全長は34m、一度に80トンもの積み荷を運ぶことができる。
■積み荷はボーイング787の胴体!
妙にずんぐりとした胴体の飛行機は、ボーイング747-400LCF、一般的には「ドリームリフター」と呼ばれている。
前頭部の形状と型式名から、ベースはジャンボジェットことB747であることはわかるが、中折れして荷物を積み込むこの巨大な胴体はというと、実は現在製造中のボーイング787のパーツを世界各地の生産現場から最終組み立て地となるアメリカボーイング社工場に運ぶための機体なのだ。
このずんぐりとした胴体には輪切り状の787の胴体がスッポリ収納されて運ばれる。日本国内では中部国際空港で見ることができる。
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