そこまで世話焼いてくれるの? やや「やりすぎ感」のあるクルマのおもてなし装備

ホンダ新型ヴェゼル 「そよ風アウトレット」

通常のエアコンの吹き出し方と「そよ風アウトレット」をスイッチで切り替えることができる
通常のエアコンの吹き出し方と「そよ風アウトレット」をスイッチで切り替えることができる
吹き出された冷風は人を直撃するのではなくわきを通り、車外からの伝導熱や窓からの熱を放散
吹き出された冷風は人を直撃するのではなくわきを通り、車外からの伝導熱や窓からの熱を放散

 暑い夏、汗をいっぱいかいてクルマに乗り込みエアコン最強に効かせたら超涼しくていい感じ!そしてそのまま走っているうちにシャツの汗が冷え、慌ててエアコン弱めてももう遅い。

 お腹痛くなってトイレ行きたくなって焦る…。こんな経験ありませんか?また冷え性の方でエアコンが苦手な方も多いはず。

 そんな方への画期的なおもてなしが新型ヴェゼルに搭載された「そよ風アウトレット」。

 この手のおもてなし装備といえば、1983年に登場したクラウンから採用した、エアコンのエア吹き出し部に装備され、送風を左右に振り分ける「電動スウィングレジスター」が思い浮かぶ。

 室内全体にムラなく風を送り、快適な空調環境を実現すると謳う機能(スイッチON時のみ作動)だが、新型ヴェゼルのそよ風アウトレットはどんなものなのだろうか?

 新型ヴェゼルの「そよ風アウトレット」はフロントパネルの左右、ドアに一番近いメーターの高さのところにあるエアコンの吹き出し口からの冷気を乗員の顔や身体に直接当てることなく、空気の膜で包み込むように冷やす優れもの。顔のお肌の乾燥を気にする女性にもピッタリだ。

 これは冷え性に悩む人が多い日本向けのいい意味でガラパゴス的なおもてなしの気がする。

トヨタセンチュリー 靴べら差し

センチュリーのことなので「人間国宝の匠がタモの木から削り出した靴べら、販売店オプション価格3万円」とかないかと思って念のためオプションリストを見てみましたが流石にありませんでした(笑)
センチュリーのことなので「人間国宝の匠がタモの木から削り出した靴べら、販売店オプション価格3万円」とかないかと思って念のためオプションリストを見てみましたが流石にありませんでした(笑)

 トヨタの、というより日本を代表する最高級車センチュリー。カタログ冒頭に「匠の技をかけがえのない資産として継承しおもてなしの心をトヨタ随一の高品質に具現化」と書かれている、まさに走る伊勢神宮。

 通常は4層の塗装を熟練工の手による水研ぎと磨きを含めた7層の工程で行う繊細な外装塗装、ピアノ「調」などではなくガチでピアノの塗装をやっているヤマハ(発動機ではなく楽器のほう)が仕上げる本杢パネル、江戸彫金の流れをくむ現代の工匠が手がける手彫りの鳳凰のエンブレムなど手のかかった装備は枚挙にいとまがない。が、普通のクルマにはない「さすが」と思ってしまうおもてなし装備が左右のセンターピラーについている靴べら差し。

 外からの目も気にしなければならずフルフラットで寝転がってお休みになる訳にはいかない貴賓が使われるショーファーカーだけあって、せめて靴ぐらい脱いでゆっくりしたいというVIPの気持ちに寄り添うおもてなし装備かもしれない。

 アルファードの最上級グレードエクゼクティブラウンジはセンチュリー同様ショーファードリブンを前提にしたクルマだが、もちろん靴べら差しはついていない。

レクサスの後席座席の快適装備はおもてなしの宝庫

クライメイトコンシェルジュ機能はレクサス各車に以前より搭載されているがセンサリングと制御のロジック、デリバリー能力が格段に洗練されたものになっている
クライメイトコンシェルジュ機能はレクサス各車に以前より搭載されているがセンサリングと制御のロジック、デリバリー能力が格段に洗練されたものになっている

 「おもてなし」という話題でこのブランドを避けて通るとむしろ不自然で違和感があるというぐらいブランドイメージに「おもてなしのこころ」がしっかりと刷り込まれているレクサス。 

 どの装備を取り上げたらいいのかこちらが悩んでしまうぐらいだが、最新のレクサスLS500/500hの後部座席の快適装備を見てみよう。カタログでは後部座席の仕様説明が前席よりも前にあるぐらい後部座席が重視されている、エクゼクティブのためのクルマだ。 

 あなたがエクゼクティブで、取引先の招待で夫婦でパーティーに出かけるとしよう。奥様は運転手が自宅に迎えに行き、すでにパーティードレス姿でリアシートに収まっている。別の取引先訪問から帰ってきたばかりのスーツにネクタイ姿のあなたは暑くてせっかくのドレスシャツが汗でしわくちゃになりそうだ。

 クルマに乗り込んだらエアコン最強にして汗をひかせたい。だがそれをやったら露出の多いドレスを着た奥様が寒すぎると文句を言う…。 
 
 普通のクルマならマニュアルでエアコンの設定温度を下げ、風量を最大にしてシートベンチレーターを作動させるところだ。そして汗が引いたらそれらを元に戻す必要がある。 

 クライメイトコンシェルジュ機能付きのレクサスなら、外から乗り込んできたばかりのあなたと、先に乗っている奥様の表面温度の違いを感知してそれぞれに違うエアコンディショニングを提供するのだ。

 通常の内気温・外気温、湿度、日光の差し込みぐあいを感知するセンサーによる車両の熱負荷と乗員の温感推定によるエアコン制御に加え、赤外線センサーで後席乗員それぞれの胸部と腹部の表面温度を個別に検知し、綿密なロジックでそれぞれのパッセンジャーに個別に最適化されるようエアコン、シートヒーターとベンチレーション、ステアリングヒーターが全て自動で連動して、何もしなくても乗員一人一人に対して個別性の高い最適化された空調が提供される。  

 普通のクルマだと「暑い、暑い」と言ってエアコンのスイッチを最強にするあなたに寒がりの奥様の冷たい視線が突き刺さり、さらには奥様にも冷気が直撃して会場に到着する前には車内だけでなく夫婦仲まですっかり冷え切ってしまう、という事態が起きるところだが、レクサスならそんな最悪な事態を避けることができる。

 クライメイトコントロール機能自体はかなり前からレクサス各車に搭載されているが、制御ロジックと個別に快適さを届ける技術は格段に進化している。

量産国産車で初めての採用となる電源のON/OFFで瞬時に”見える/見えない”が切り替わる瞬間調光ガラス「UMU(ウム)スマート ウィンドウ」
量産国産車で初めての採用となる電源のON/OFFで瞬時に”見える/見えない”が切り替わる瞬間調光ガラス「UMU(ウム)スマート ウィンドウ」

 またリアシートは48度までリクライニングし、リクライニングの度合いに連動してリアエンタテイメントシステムの11.6インチモニターの角度が調整されたり、降車時にはドアを開けると降りやすい角度までリクライニングが戻るなど、紹介していけばキリがない。

 個別の機能は欧州車でも同様のものは見られるが、パッケージ全体でのおもてなしクオリティはさすがレクサスと思わせるものがある。   

 もう一つ、レクサスの後部座席のやややりすぎ感のあるおもてなし装備で紹介したいのがアジア向けで日本では発売されていない最高級ミニバンのLM300h/350の前席と後席を隔てる瞬間調光ガラス、UMU(ウム)スマートウインドウ。

 マイバッハなどのショーファードリブンのクルマではパッセンジャーのプライバシーを確保するため前部座席と後部座席の間を物理的に遮るパーティションが装備され、スイッチを押すとせりあがる仕組みのものが多かった。

 だがレクサスLMはガラス製のパーティションが、スイッチひとつで瞬間的に透明なガラスから曇りガラスに変化し、「見えるガラス」が「見えないガラス」になる。これは量産国産車としては初めての採用となる機能。

 ガラスとガラスの間に挟まれた不透明な液晶シートに電圧をかけることで液晶分子を整列させてガラスを透明にするという仕組みになっている。   

 ショーファーの視線を慌てて遮らなければならないような緊急事態 (?) に備える、というよりは飛散防止の施されたガラスでスマートにセパレートするということなので、誤解なきよう。

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