【売れない車に愛を】販売台数は少ないけど応援したい国産車 5選

 クルマ好きは、なぜか売れてないクルマの話題が好きだ。

「あんなの、売れるわけないよハッハッハ」と留飲を下げられるから? いや、決してそれだけではない。「いいクルマなのになぁ、かわいそうに」と、強い同情を寄せることもある。判官贔屓というヤツだ。

どっちにせよ、売れないクルマのことをあれこれ考えるのは、なぜか楽しい。

ということで今回は、クルマ好きがつい判官贔屓したくなるクルマを5台選んでみた。いずれも尊敬できる部分を持ちながら、売れ行き不振にあえいでいるモデルです。
文:清水草一


●スズキ・イグニス 2018年4月月販台数 701台

スズキ イグニス(現行型2016年2月発売)
スズキ イグニス(現行型2016年2月発売)

 イグニスはすばらしい! ほとんど欠点のない、美点だらけのクルマだ!

 まずデザインがいい。スズキは「凛としたフロントマスク、美しく張り出したフェンダーアーチ、そしてシャープで豊かなショルダーライン」と言っているが、まったく異論なし! 全

 高は高めながら、後ろから見たフォルムは完全な台形で、大地をしっかり踏ん張っていてスポーティ。このどこかやんちゃな顔付きも、コンパクトカーだけど適度に「なめんなよ」と言ってる雰囲気でイイ。

 インテリアはさらにステキだ。ぜんぜんゴージャスではないけれど、抜群にセンスがいい。まるでイタリアの小型車! キャビンにいるだけで楽しくなってくる。

 走りもいい。スズキの1.2Lエンジンは実にトルクフル。しかもイグニスは車重わずか900キロ前後だから、ビックリするほど軽快に走る。マイルドハイブリッドで燃費もイイ。

 こんなにイイのに、いったいなぜ売れないんだろう……。キャビンがヨーロッパ車的に台形な分、室内が狭く感じるからだろうか? 確かに軽ハイトワゴンのほうがぜんぜん広いですけど、クルマの中身だけ見れば、現在の10倍売れてもおかしくないのですが……。

●ホンダ・ジェイド 2018年4月月販台数 1台

ホンダ ジェイド(現行型2015年2月発売)
ホンダ ジェイド(現行型2015年2月発売)

 私は一時、真剣にジェイドRSの購入を検討した。だってものすごく印象が良かったから!

 ジェイドのどこがいいか。まずデザインがいい! これはかつてのホンダ・アヴァンシアの再来! いや、アヴァンシアをぐっとスポーティに、スタイリッシュに洗練するとジェイドになる。これこそワンダーシビックから続いた、砲弾型フォルムの完成形!

 ジェイド最大の美点。それはハンドリングだ。こんなにも意のままに気持ちよく曲がってくれるミニバンは他にありません! いや、ミニバンというカテゴリーは完全に超えている。

最大のポイントは重心の低さだ。かつてホンダは2代目オデッセイで、ミニバンでありながら究極の重心の低さを追求し、NSXをも上回る操縦性を目指したが、ジェイドにはその古き良き伝統が生きている! ミニバンの走りに退屈しきっているオトーサンも、ジェイドに乗れば必ず息を吹き返す!

が、悲しいかな、ジェイドは恐ろしいほど売れてない。想像を絶する大惨敗である。価格設定が高すぎたのと、ミニバンとしては室内がとても狭かったことが敗因と言われております。

オトーサンの情熱は、またしても実用性の前に敗退した。しかしジェイドよ、キミの情熱は決して忘れない! ありがとうジェイド~~~~!

●マツダ・アクセラハイブリッド 2018年4月月販台数 42台

マツダ アクセラハイブリッド(現行型2013年10月発売)
マツダ アクセラハイブリッド(現行型2013年10月発売)

 現行型アクセラが登場した当時は、日本中がハイブリッドブームに沸いていた。ハイブリッドにあらずんば人にあらず。ハイブリッド車なら何でも売れる。そんな空気だった。

 クルマ好きメーカー・マツダを応援したい私としては、アクセラにプリウスのハイブリッドシステムが移植されたことを、大いに喜びました。これで国内でもアクセラが売れる! ヨカッタ~! と。

 乗ってみると、実にすばらしかった。なにしろ走りがメチャメッチャいい! 本家のプリウス(先代)とは比べ物にならないハンドリングのよさ! プリウスとアクセラのシャーシ性能を比べたら、そりゃもう月とスッポン!

 アクセラはもともと、マツダらしく走りのいいクルマだが、中でもベスト・ハンドリングと感じたのが、ハイブリッドモデルだった! 後ろにハイブリッド用バッテリーを積んでいる分、前後重量配分が最適化されたせいだろう。ハンドリングだけ見れば、アクセラはハイブリッドがベスト! 最高じゃん!

 ところが! アクセラハイブリッドは最初からコケました……。なんで?

 やっぱみんな、ハイブリッド買うならトヨタに行くんですね。マツダ車買うのに、なにもわざわざトヨタ製のパワーユニット積んだモデルを買わないんですね。涙。

●日産・ジューク 2018年4月月販台数 230台

日産 ジューク(現行型2010年6月発売)
日産 ジューク(現行型2010年6月発売)

 ジュークのデザインは革新的だ。なにしろ「目」が上下に2組あるのだ! 誰もが「あれ、どっちがヘッドライト?」と戸惑う。ついジュークのスタイルを見入ってしまう。するとあら不思議、このユニークなデザインに魅入られてしまう。この絶妙な違和感の虜になってしまうのだ!

 そのようにしてジュークは、グローバルで大ヒット商品になりました。

 昨年登場した新型シトロエンC3は、明らかにジュークのシトロエン版! アウディQ2も、ジュークのアウディ版と見て間違いあるまい。ジュークは世界のコンパクトSUV界のベンチマークとなった!

 え? 日本で売れてない? それはまぁ、このカッコ、日本人にはちょっとエグすぎるから。でも世界に影響を与えたジュークを、私は日本人として誇りに思います!

●三菱・i-MiEV 2018年4月月販台数 2台

三菱 i-MiEV(現行型2010年4月個人向け販売開始)
三菱 i-MiEV(現行型2010年4月個人向け販売開始)

 三菱iが登場した時、私はそのあまりのスタイリッシュさに失神しそうになった。

これはカッコよすぎる! まるで月面車か宇宙船じゃないか! これなら宇宙人が降りてきても自然な感じ! どんだけ未来的なんですか!? スゲエ!

 このデザインは、エンジンをリヤに置いたRRレイアウトだから可能になったこと。わざわざRRにした三菱に大拍手! 開発費もかかったことでしょう。涙が出るヨ!

 が、iの売れ行きは出足から不調でした。「こんなカッコいいクルマ、田舎じゃ乗れない」とか、「こんな目立つデザインじゃラブホに入れない」と言われました。軽はカッコ良すぎたらダメだったのですね。

 それでも、いやだからこそ、iに対する尊敬の念は強まる。ナイスファイト! 敗者にこそ真の美しさがあるぜ!

 そんな尊敬の念が届いたのか、三菱はいまだにiを存続させている。EVのi-MiEVのみになり、最近は歩行者保護法規対応のために全長を伸ばし、軽自動車から普通車に移行させてまで生き残らせた。販売台数を見ると植物状態だが、それでもiは生きている! まだ死んでない! その事実に涙が出る。

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