「働くクルマ」ともいわれる建機。“クルマ”とはいえ走行することが目的ではなく、“作業”することを目的として誕生し、日々進化。
そしてその進化のベクトルは、乗用車同様に安全、環境、効率、人的負担軽減など、乗用車とほぼ変わらないテーマを持っているのだ。
電動化・ハイブリッド化、無人運転…。恐るべき「働くクルマ」たちの超進化をご紹介!
※本稿は2021年4月のものです
文/末永高章(「バスマガジン」編集長) 写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2021年5月26日号
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■テーマ01:ハイブリッド、電化が浸透中!
●巨大で多くのエネルギーを必要とする建機。電動化の波は必然的に押し寄せる
クルマの動力源のハイブリッド化で燃料消費が減少し、排出ガスも減らせ、環境にいいとされているのは周知のとおり。さらに電気だけのクルマも一般的になりつつあるが、それは建機の世界も同じだ。
まずは目にすることが多い油圧ショベル。コマツPC200という中型油圧ショベルが、2008年にPC200h(後にHB205に改名)という型番で、動力源がハイブリッド化された。これが一般使用される建機のハイブリッド第1号機だ。
このPC200h、走行は内燃機関のままで、ブーム(土などを掘る作業装置)の旋回減速時に回生エネルギーを蓄電し、ブーム旋回時に還元するというもの。
これは建機ならではの高度なアイデアで、ここから一気にハイブリッド化が一般化した。
また、キャタピラージャパンでは2010年にD7Eブルドーザを発表。こちらはシリーズ式ハイブリッドで、エンジンで発電、電気で駆動というシステムを持つ。こちらも世界初だ。
●建機にも“ピュアEV”
そして電化。コマツPC30E-5というミニ油圧ショベルは、バッテリー駆動式として2020年に登場。短時間で80%まで充電する急速モードも持つため、実用性能に問題はない。
さらに日立建機には、電気ケーブルを接続した状態で稼動する、電動油圧ショベルZAXIS135、225というモデルもある。
実は、建機における電化の歴史はけっこう古く、代表的なのは電気式ダンプトラックだ。海外の広大な鉱山などでは戦前から活躍している。
これは現場に電柱を立てて架線を張り、トラックにパンタグラフを付けたトロリー式のもの。このシステムだと燃料補給の必要がないため、時間的メリットが大きい。
建機は巨大なものが多く、多くのエネルギーが必要なためクルマ以上の環境対策と、電気を効率よく使う方法が積極的に採られている。
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