■テーマ02:オドロキ! 24時間無人操業
●人が現場で関わることなく24時間働き続ける。時間とコストを大幅削減!
建機の稼動には無人化が推し進められている。現在の“建機の世界”で、これがひとつの大きな流れとなっている。
これは騒音や安全性などの問題がクリアできる環境であれば、ルーティンワークなどの作業は無人で行い、かつ無人なので24時間操業も可能、というものだ。
コマツでは2020年から「スマートコンストラクション」という事業として、自動化、遠隔操作化、電化を推進している。
例えば、土壌整備なら、まずドローンで施工エリアを測量して3D図面化し、油圧ショベルやブルドーザなど必要な機材に、あらかじめ「動き」をインプット。
さらにGPSで位置を関知しつつ、機材(建機)側はパターンが決まっていれば自動化されているので、これに従って作業する、という流れだ。
もちろん作業をモニターするオペレーターは必要だが、複数の無人機材が同時に稼動できることで時間、コスト面での高効率化を図れる仕組みになっている。
●4カ国で無人ダンプが走る
さらに輸送の話になるが、コマツでは2008年から鉱山現場での無人ダンプトラック運行システム「AHS」を市場導入しており、2020年12月末の時点で、4カ国13サイトで計297台の無人ダンプが稼働している。2021年度末までに累計380台の導入を目指しているという。
オペレーター不足が大きな悩みとなっている建設業界で、少ない人員で多くの作業をこなせるこの方式は、現在、実証実験が行われている「大型トラックの無人隊列走行」のような感覚だ。
ただし、クルマ(乗用車)においての自動運転とは異なり、建機の世界では移動して作業するという内容のため、現時点ではシンプルな動きのもの。
しかし、これもカメラやセンサー、分析ソフトの進化で複雑な動きが可能になる日も近いといえる。
■テーマ03:オペレーターの負担軽減に注目!
●作業する人の熟練度の差を埋めるための建機も進化中。また、「快適さ」も求めつつある
紹介してきたように、建機の世界の技術進歩は目覚ましいが、それでもオペレーターの存在は不可欠。
無人化、自動化と並び、メーカーの技術進化でフォローされているのは“オペレーターの練度の差を少なくする”ということ。
どんな仕事でもベテランと新人では仕上がりに差が出るのは当たり前。
訓練と実務を重ねた経験値に勝るキャリアはありえないと言っても過言ではないはずだ。
しかし、少しでもその差を埋めるべく建機各メーカーでは、オペレーションの簡素化、作業周辺情報の処理などをハードウェアに任せるようなモデルチェンジを進めている。
これは環境問題や効率化同様に重要な課題だ。現在のところ、顕著にこの姿勢が見られる建機が、コマツのモーターグレーダー(整地作業をする機材)、GD405-7だ。
機種のなかでは小型の部類だが、それでも全長7720mm、ブレード幅は3100mmある。
小規模な道路工事などで使われるこの自走式産業車両は、従来機よりフロア高を17cm高くして、オペレーターが着座位置からでも、立ち姿勢のように前方が見渡せるようにしている。
また電気式の作業レバーによって腕の動きを最大で92%も低減。
ひじを置いたまま操作ができる。この改良により、2020年の第50回機械工業デザイン賞IDEA賞を受賞した。
●キッチンが備わる建機も
この建機に限らず、サスペンションシートの油圧ダンパー化、エアコンの強化、乗降補助装備、シート座面・背面のホールド性向上や快適化など、オペレーターの就業環境の向上も、メーカーは常に進化させている。
海外の超大型ダンプトラックや油圧ショベル、クレーンなどの建機には、驚くことにトイレ、キッチン、冷蔵庫、エスプレッソマシンなどが装備されたものもあるほど。
機械技術が進化しても、やはりそこで働くオペレーターが一番大切ということだ。
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