バッテリーEVとなった、ホンダ「S660」
かつて、軽スポーツカーとして名を馳せたホンダ「ビート」の実質的な後継車として、2015年4月より発売開始となったS660。ミッドシップエンジンリアドライブ(MR)レイアウトを採用し、エンジンを車両後方に配置したことで、フロントの軽量化とボンネット高を低くでき、スポーツカーらしいノーズの低いプロポーションを得た。
車両重量は830kg(CVTは850kg)、前軸荷重配分は45%、フロント軸重約373kgというありえないほどの超軽量なフロントセクションだ。ドライバー席も、後輪タイヤのすぐ手前に来るほど後ろ寄りで、後輪荷重の増加に寄与している。
エンジンは、低回転域の強いトルクと高いアクセルレスポンスを狙った直列3気筒ターボエンジン(64ps/104Nm)。トランスミッションは、6速マニュアルトランスミッションと、スポーツモードを備えた7速パドルシフト付CVTを設定していた。
このS660に、ホンダeに搭載したバッテリーEVのパワートレインをリアに搭載したらどうだろうか。
軽量ボディにトルクの強いモーターを組み合わせ、胸のすく加速フィールを得る。現時点、それを実行した自動車メーカーはなく、もし先陣を切るメーカーがあるとしたら、ホンダしか考えられない。全車EVを公言しているホンダならば、いずれこれに近いことをやってくるにちがいない、と筆者はひそかに期待している。
バッテリーEVもしくはe-POWER車となった、日産「パオ」
「Be-1」「フィガロ」「パオ」「エスカルゴ」――。日産のパイクカーシリーズの一台である「パオ」は、1987年の東京モーターショーに参考出品された後、1989年から発売開始した。
開閉する三角窓、外付けのドアヒンジ、上下2分割するリアクオーターウインドウ、ボディに入ったスリッド模様など、Be-1よりもさらにレトロ調を強めた秀逸なデザインで人気となった。いまでも、中古車が高額で取引されている。
このデザインのまま、e-POWER車、もしくはバッテリーEVとなったらどうだろうか。いろいろとクリアしなければならない課題はあるのは承知の上だが、現代技術で蘇った「パオe-POWER」は、ヒットする予感がする。
ちなみに、当時のパオは3ヶ月間の受注期間をもうけ、その間に予約された台数分を販売する戦略で、なんと5万台以上の受注を獲得し、最長1年半もの納期待ちが発生した。「限定販売」という言葉に弱い日本人の心をくすぐる販売戦略も、参考になるのではないだろうか。
ハイブリッド車となった、マツダRX-7(FD)
ロータリーエンジンのピュアスポーツカーとして、ファンからの絶大な支持を得ていた「RX-7」。最終型となった3代目RX-7(FD3S型)が登場したのは、1991年のこと。2003年の終了まで11年間、マイナーチェンジを行いながら、販売が続けられてきた。
何といってもエクステリアデザインの美しさは、いまでも右に並ぶスポーツカーが見当たらないほどに秀逸だ。2代目のFCに対し、全幅とトレッドを広げたワイドアンドロ―スタイルとなり、地を這うようなルックスとなった。曲線を多用したボディラインも流麗。このエンジンフードの低さは、ロータリーエンジンだからこそ実現できたそうだ。
エンジンフードの低さを残すため、ぜひともこのFDに、新世代ロータリーエンジン+ハイブリッドシステムを搭載して復活させてほしい。
マツダは、「ロータリーエンジンを発電用とするREレンジエクステンダーを開発中」としていたが、最近はその情報も聞かなくなってしまった。もちろん、低いボンネット高さであっても、衝突時の歩行者保護要件は必達なので、そのブレークスルー技術もセットでの提案となるはずだが、マツダならばやってくれるはずだ。
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