実力は十分、でも打倒タイプRは叶わず
一方のライバル、1997年当時のシビックタイプR(EK9型)といえば、1.6リッター直4DOHC+VTECのスペシャルチューニング版「B16B 98 specR」を搭載、最高出力は185ps/8200rpm(リッターあたり116馬力)に到達していた。
専用チューニングされたサスペンション、タイヤはポテンザRE010、トルク感応型ヘリカルLSD、大径のブレーキディスクローター、専用ABS、その他各種エアロパーツを装備。またインテリアも、レカロ製バケットシートやモモ製ステアリング、チタン製シフトノブなどを標準装備。このタイプRがとにかく速かった。
全日本ジムカーナ、全日本ダートトライアルでもEK9が全戦優勝、ベースマシンの速さが求められるスーパー耐久でも1.6L FFマシンでの参加者のほとんどはEK9、というほど、人気マシンだった。
一方のパルサーVZ-RのN1仕様は、生産台数が少なく、限られたレーシングチームのみが手にできたマシン。実力は十分であったはずのパルサーVZ-R N1だが、EK9相手に善戦はしたものの、圧勝することはできなかった。
そこへきて、90年代末にかけてのミニバンブーム浮上によって、パルサーの売れ行きは急降下。そして2000年8月、パルサー国内モデル終了によって、パルサーVZ-Rも消滅となった。
◆ ◆ ◆
現在、パルサーVZ-Rは、中古車市場でもほとんど見当たらず、再び手に入れるのは、至難の業となっている。2014年には、欧州でパルサーが復活しており、パルサーNISMOもラインアップされていたが、日本導入がかなわないまま、2019年3月に販売終了となってしまった。
ファンを魅了する実力を持ちながらも、打倒タイプRをかなえられなかったパルサーVZ-R。記録を残すことはできなかったが、ファンの記憶には、いまも色濃く残っていることだろう。
【画像ギャラリー】90年代に大活躍した懐かしのFFホットハッチ「パルサー」の全盛期とそのライバルたち(23枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方