■JCCSを主催するのは日本人夫妻
さて、全米ではモータートレンドをはじめ有名自動車メディアやLAのメディアも大きく報道するまでになったJCCS。16回目の開催であり、昨今の日本車人気からも西海岸ではしっかり定着したイベントに成長した。
このイベントを主催しているのはどんな人たちなのだろうか? アメリカ人、それとも日本人? やはり大手のイベント会社が主催しているのか? と思って調べていたら、JCCSを主催しているのは1990年代に留学のために渡米してきた日本人ご夫妻であることがわかった。
このイベントを主催したコウジさん、テリー山口さん(奥様)にJCCSをスタートした頃の話を聞いてみた。ここまでの規模のイベントに成長するまでに様々な苦労があったという。
16年前といえばそんなに昔とも思えないが、当時のアメリカは日本車(旧車)に対する風当たりが今とは比べものにならないほど強く冷たかったのだ。
「16年前、南カリフォルニアの自動車愛好家グループが、日本のヴィンテージ自動車とそれを取り巻く文化を祝う新しいイベントを開催するというアイデアに集まりました。
当時、これはかなり大胆なアイデアでした。旧車世代の日本車は当時のアメリカではあまり認知されておらず、クラシックカーとして受け入れられていなかったからです。
今のような日本車ブームでもなかったので、『日本車のクラシックカー?』『日本車のくせに何様だ!』などとクレームが多方面から届きました。著名なジャーナリストがわざわざメールを送ってきたこともありましたよ(苦笑)。
なにしろアメリカ車よりすべてが若いですし、Kellyのブルーブック(中古車査定ブック)でも価値が低いものもたくさんありましたから。『Japanese Classic Car Show』と名乗った時には全米から叩かれましたよ。
でも、どこにも「Japanese Classic Car Show」と名乗ってはいけないなどの法律はないのだから、「State of mind」(気持ちの問題)だから勝手でしょう! と言い返した翌年には、JCCS開催のニュースがLA Times の表紙に載って「やった!!!」と思ったものです。
それからはジェイ・レノ(アメリカで超有名な車愛好家大物司会者)も愛車のマツダコスモスポーツで参加してくれて、テレビ番組にも出演し、知名度も上がり、誰も文句を言わなくなりました」。
こうして、年々参加者が増え、今年は史上最大規模での開催となったのだ。なお、JCCSの日本語訳は「日本旧車集会」となるが、参加できる車両には厳密なルールがある。
・「旧車」とは1995年以前に製造された日本車。※かつては1985年までの製造車両だったが、3年前ファンのみなさんの多大な希望で延長
・1995年以前に最初に製造されたモデルも含まれる。(製造年月が1996年でも1994年デビューのクルマなら参加資格アリ)
・アメリカで正規に販売されてきた左ハンドル仕様、25年ルールを経て日本等から輸入された右ハンドル仕様いずれもOK
このほかにも独特のルールが課せられているがそのひとつが事前申し込み時の「写真判定」である。愛車の写真を送って審査にパスしないことにはJCCSの会場に並べることはできない。どのようなところを見るのだろうか?
「JCCSは全車両、写真判定を行います。アメリカは日本旧車の価格が上がってきているので、買ってフリップして売る、という人もいっぱいいるんです。
なので、指定の角度で写真を撮ってもらってそれを見て、まずはボディがストレートか? きちんと手が入っているか? レストアする気があるのか? 拾ったばかりのボロ車ではないか? などを判断します。
また最近はキレイに仕上げているクルマであっても、車両に負荷がかかっていて、もうこれはもとに戻すことはできないだろう、というヘビーなカスタムをする若者が増えています。
そのようなカスタムは旧車の生命を短くしてしまう可能性があります。昨今、アメリカで人気が出始めている『暴走族』仕様の日本車などもそうですね。お金をきちんとかけて改造できる人ばかりではありませんから。
そうすると、もう貴重な旧車の生命がそこで終わってしまうので、JCCSでは応募車両ははケースバイケースで、チーム内で検討させて頂いています」。
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