■ブレーキが効かなくなるのを防ぐにはどうすればいい?
先日の観光バス事故では、サイドブレーキも効かなかったという証言も見られたが、乗用車でもフットブレーキとサイドブレーキのブレーキは共用しているクルマが多く、フットブレーキがフェードしてしまうとサイドブレーキも効かなくなる。
後輪もディスクブレーキの場合、サイドブレーキのためにドラムブレーキを組み込んでいるクルマはディスクブレーキがフェードしてもサイドブレーキが利くことになるが、サイドブレーキも兼用のドラムブレーキの車種の場合は、サイドブレーキも利かないのだ。
そうした下り坂でのブレーキ過熱による制動力低下を防ぐには、まず一番重要な対策としてエンジンブレーキ、回生ブレーキを最大限利用することだ。
最大限とはエンジンがレッドゾーンに入りそうなほど回すのではなく、なるべくエンジンブレーキを使うという意味で、AT車(CVTも含む)の場合Dレンジ以外に前進用には3、2、1やBというモードがある。これらは変速比を低めに固定し、エンジンブレーキを強めに利かせることができるから、下り坂では積極的に使用するべきモードだ。
EVやハイブリッドであってもブレーキの構造は同じで、車重が重いためブレーキの負担は意外と大きい。フットブレーキを使用してもモーターによる回生ブレーキを自動で制御しているが、こちらもセレクターをBに入れることで、回生ブレーキをより強力に効かせることができる。
リーフ、ホンダe、日産のe-POWER搭載車はワンペダルドライブが可能で、自在に加減速できると同時に効率よく回生することもできる。ただしバッテリー残量によっては回生しない場合もあるので注意が必要だ。
速度が上昇してしまってからではエンジンブレーキで速度を落とすことは難しい。あくまで車速の増加をある程度抑えるための手段なので、下り坂に入ったらすぐにエンジンブレーキを使う習慣をつけることだ。
■ブレーキの踏み方にも注意したい! ブレーキフルードの交換も行いたい
フットブレーキをなるべく使わないようにと思い、弱くブレーキをかけ続けるドライバーもいるだろうが、これはNG。ブレーキは使用している状態では温度を下げにくくなってしまうため、フェードしやすい環境を作ってしまう。
そのため下り坂での減速にフットブレーキを使うなら少し強めに踏んで、目的の速度よりやや低い速度まで低下させることだ。そして再びブレーキペダルから足を離してブレーキを冷やしてやること。
ブレーキペダルの反応が怪しくなってきたと思ったら、見通しの良い区間であれば一度クルマを停止させてブレーキを完全に冷やしてやるくらいのほうがいい。本来は完全に停車するより、徐行程度まで減速して走っているほうが、走行風でブレーキは冷える。
もしブレーキが甘くなった、効かなくなったと思ったらクルマを壁やガードレールに擦ったり、砂を積み上げた緊急退避所にクルマを突っ込ませることも最終手段として覚えておこう。クルマは壊れるが、ここは乗員の安全を優先するべき場面だ。
車検時にブレーキフルードを交換しておくこともベーパーロックを防ぐために効果的な対策だ。エンジンオイルなどと違い、部品の寿命を左右するものではない(実際にはドラムブレーキのホイールシリンダーの寿命は左右するが)が、ブレーキペダルの踏みごたえもしっかりする。
ブレーキパッドも半分以下に減ってくるとフェードしやすく、ベーパーロックも引き起こしやすくなる。車検時に交換してもらうほうが、作業工賃の節約にもなるので寿命を考えて早めに交換することだ。
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