交通違反さえしなければなにも怖くないパトカー。むしろ交通課隊員のドライビングテクニックや車両の特殊性も相まって、マニアも出てきてしまうような世界だ。
そんなみんな大好きパトカーの世界だが、海の向こうオーストラリアで驚愕のパトカーが登場したらしい。
「はいはい、またスーパーカーでしょ」と思うなかれ。2019年3月14日にオーストラリアホンダが発表したところによると、今度のパトカーは驚愕のシビックタイプRだ。
330psのニュル最速のFF車がオーストラリアの広大な国土で、ワインディングの取り締まりにいそしむのだろうか?
FFで世界最速のパトカー(たぶん)の登場に迫る!!
文:ベストカーWeb編集部/写真:HONDA
■ニュル最速スペックもパトカーとしてどう使う?
史上最強のFF市販車としてニュルブルクリンクでのラップタイムを更新しているホンダのシビックタイプR。
タイムアップをしつつも乗り味も損なわないしなやかなサスペンション、そして330psというとんでもないパワーを前輪に伝え、安全に制御する電子制御の巧みさ。
乗ってみるとかつての「高回転NA至上主義」はとりあえず置いておいて、ターボのタイプRもいいもんだなんて納得してしまう1台だ。
そんなタイプRをパトカーで採用してしまったのが、オーストラリアのNSW(ニュー・サウス・ウェールズ州)警察。
NSW州はわかりやすくいえばシドニーがある州。オーストラリアで最も人口が多い州であり、日本で言えば東京都のようなものだ(シドニーは首都ではないけど)。
これはホンダとNSW警察の1年間のコラボレーション(※海外では警察が私企業とコラボするのはよくあること)によって生まれたパトカーになる。
ただ導入のキッカケは中東のランボルギーニなどをパトカーにする警察署とは少し違って、「悪質違反者を追いかけまわすぞ!!!」というわけではなさそう。
導入理由はNSW警察が進行する大プログラムにあった。
■タイプRを「アイウォッチプログラム」に生かせ
今回のタイプRパトカー導入はNSW警察が取り組む「アイウォッチプログラム」を支援するためのもの。
このプログラムはFacebook上で、コミュニティに住む住民と近隣警察署をつなぐものになる。例えば現在話題にあがっているのは「不法狩猟はやめよう」というもの。
この投稿について「〇〇丁目のジョージさんが禁漁期に猟銃をもって出かけた」など目撃情報を通報し、実際に逮捕などに繋げるという(実績もあるとのこと)。
そのアイウォッチプログラムをより多くの人に周知するために、今回のシビックタイプRは導入されたという。
ボディサイドに目のイラストはアイウォッチプログラムのロゴマークだったというわけ。
なんだかそんな話をすると半分プロモーション用の導入にも思えるが、なんやかんやでこの企画を実現してしまうあたりに海外の凄さを感じてしまう。
「アイキャッチングなデザインと、今日を代表するホットハッチを使うことで多くの人とアイウォッチプログラムを繋ぐことができると思います。
特にクルマ好きや、若い人たちにはこのシビックタイプRが警察へのイメージをもう少し身近にしてくれるかもしれません」とNSW警察のジョー・カサー司令官は語る。
初仕事は警察への就職フェアだったとのことだが、応募者殺到となればホンダも嬉しいはず。あっ、それならばNSXがよかったかも?
なにはともあれ、タイプRパトカー、日本のどこかの警察本部でもぜひ採用してください!! ほら、タイプRの開発もする本田技術研究所は栃木にもありますし……。
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