時間の経過は残酷、老けて見えるクルマ5選
■日産V35スカイラインセダン(2001年デビュー)
実質的にはインフィニティG35だが、数少なくなった生き残り個体を見かけると、猛烈に老けて見える。この1代前、R34スカイライン(GT-Rを除く)もデザイン的には駄作だったが、あの時代錯誤的な角張ったボディよりも、こっちの方がさらに老けが早く感じられる。同じV35でもクーペは老けないのに、いったいナゼ?
理由は、すべてがヌルいから。フォルムもボディパネルもディテールもすべてがヌルい! ヌルいってどういうこと? と問われれば、「緊張感の欠如」と答えよう。締まるところが締まってないのだ。
例えばクーペには適度なマッチョ感があるが、セダンはキャビン部の上下寸法が大きいぶんそれもなく、左右の絞り込みも小さいので全体に平板。そういった積み重ねが、大きな差になっている。
■初代トヨタアルファード(2002年デビュー)
現行アルファードは飛ぶ鳥を落とす勢いだが、初代アルファードを見ると、方向性は同じなのに非常に古臭く感じる。
その原因は、微妙なプロポーションの狂いにある。Bピラーは初代エルグランドのコピー的な尖った台形状だが、上端の幅が狭すぎて弱弱しく見え、地震があったら屋根が潰れてちゃいそう。
フロント部だけ前傾したウエッジ形状なのも、ボディ後部とのバランスが微妙に崩れている。中央が下がったグリルやバンパー形状のバランスも、どこか「ぶつけて凹んじゃいました」という風情。
現行アルファードのものすごい力感と比較すると、鍛え方の足りない、ひ弱なオラオラだったと言わざるを得ない。
■2代目トヨタプリウス(2003年デビュー)
日本にハイブリッドカーブームを巻き起こし、爆発的に売れたクルマだが、登場から15年余たったいま見ると、妙に老けて見える。登場当初は「そんなにカッコよくないけれど、未来的で悪くない」と感じたはずなのだが……。
実際、2代目プリウスのデザインは、シンプルかつクリーンで決して悪くない。しかし、老けて見えるようになったのも事実。
理由のひとつには、あまりにも数が売れたがゆえに、さすがに見飽きたというのがある。
さらには、空力を優先したきわめて真っ当な未来感をまとっていたため、15年たった現代が、当時の未来を追い越してしまった。
やはり自動車デザインというのは、どこかに意外性が必要なのだ。2代目プリウスはそれが弱かった。
初代プリウスはもっと古臭いが、個性的であるがゆえにあまり老けて感じず、逆に走っていると「老いてますます盛んだネ!」と思わせる。
■13代目トヨタクラウン(2008年デビュー)
21世紀に発表されたクラウンの中では、断然無難で凡庸なデザインなので、相対的に老けて見える。
1代前はゼロクラウン。これはいま見ても適度な緊張感があり、あまり老けていない。1代後はイナズマグリルの先代クラウン。非常に個性的で、いまだに革新的に感じる。
ところがその間の13代目クラウンは、存在感が希薄だし、古き悪しき時代のクラウンが持つ保守性が濃厚。ゆえに老けて感じられる。
■現行(3代目)トヨタヴィッツ(2010年デビュー)
ヴィッツは稀有なことに、新しいモデルほど老けが早い。初代ヴィッツのデザインは傑作で、今見ると、安っぽいながらに守ってあげたい愛おしさを感じるが、2代目はそれを太らせて若干ヌルくしているので、それなりの年を感じる。
そして現行ヴィッツは、無意味なうねりやエッジを加えてゴテゴテさせ、プロポーションもボディパネルもディテールも崩壊。新車でも中古車に見えるほど老けが早くなった。
さらに現行のマイナーチェンジ版は、リヤに踏ん張り感を演出するための無意味なほうれい線が描かれ、リアコンビランプがこれまた無意味に横に延長されて、強烈な加齢臭を発するようになったのだった。
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