スズキスペーシアの旧型は軽快感がある
先代スペーシアはパレットの後継車種として、2013年3月に発売された。
N-BOXが先代型と現行型で外観が似ているのに対して、スペーシアはかなり異なる。先代型は全高が1700mmを超えるものの、1735mmにとどまり、現行型に比べて50mm背が低い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も先代型は35mm短い。
そのために外観の視覚的なボリュームは現行型が強いが、先代型には独特の軽快感が伴う。
標準ボディの車両重量は、先代型の売れ筋グレードが850kgだから、機能を充実させながら軽量化を図った現行ハイブリッドGとほぼ同じだ。
現行型と先代型で車内の広さを比べると、ホイールベースに35mmの差があるから違いが生じそうだが、意外に後席の足元空間は変わらない。
内装の質は新型が高いが、先代型はグローブボックスの内部にボックスティッシュを収め、インパネのトレイに設けられた開口部からペーパーを引き出せる工夫があった。機能に大きな差はない。
シートの座り心地は、現行型が少し快適だが、先代型でも満足できる。
荷室は背が高くなった分だけ現行型に圧倒的な余裕がある。自転車などを積む時は、現行型の方が有利だ。
このように室内空間は、現行型の方が進化しているが、荷室の広さにこだわらなければ先代型でも満足できる。
動力性能は、売れ筋になるノーマルエンジンの場合、現行型が実用回転域の駆動力を高めたが、吹き上がりは先代型が活発だった。その分だけ先代型はノイズが大きめだった。
走行安定性は現行型が後輪の接地性を高めて安心できるが、峠道では少し曲がりにくい。これに比べて先代型は、後輪の接地性は少し低めだから安全面でマイナスだが、カーブを曲がる時には軽快感が伴う。
乗り心地は先代型は硬めの印象で、現行型の方が快適だ。
このように見ると、先代型は天井が若干低いこともあり、スポーティな印象があった。現行型は重厚感があって快適だ。
安全装備は、先代型でも2015年にデュアルカメラブレーキサポートを加えて、安全装備を今日の水準に近付けた。現行型は後退時ブレーキサポートなどを採用している。
JC08モード燃費は、先代型のノーマルエンジン車は32km/L、現行型はハイブリッドGが30km/Lで、ハイブリッドXは28.2km/Lだ。スズキの開発者は「現行型は実用燃費に近い計測をしたから、先代型に比べてカタログ記載の数値が下がった」という。
中古車の価格を見ると、先代型となる2016年式スペーシアXは、走行距離が2万〜3万kmの車両が100万円前後だ。現行型のハイブリッドXが新車価格で約147万円、ハイブリッドGが約133万円だから、3年落ちでも相応に安い。
5年落ちの2014年式であれば、4万km前後を走った車両が80万円前後になる。
N-BOXは先代型も現行型に似たデザインで人気が高かったが、スペーシアは対称的だ。先代型が不人気で、現行型になって天井を高めたところ人気を得た。そのために先代型は年式や走行距離の割に価格が安い。
しかも軽快な運転感覚など、現行型のスペーシアやN-BOXが備えていない特徴もあるから、天井の高さや車内の広さに不満がなければ、先代スペーシアの中古車は買い得だ。
先代N-BOXの緊急自動ブレーキよりも高機能なデュアルカメラブレーキサポートを選べることも含めて、スペーシアの中古車には魅力が伴う。
N-BOXを買うなら新型も視野に入れ、スペーシアなら進化した緊急自動ブレーキを備える割安な中古車をねらうといいだろう。
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