N-BOX、スペーシア先代型の相場と事情 2大超ヒット車がお得に買える!?大損する!??

N-BOX、スペーシア先代型の相場と事情 2大超ヒット車がお得に買える!?大損する!??


 スーパーハイトワゴン系軽自動車が超絶的な人気を誇る今、その双璧がホンダN-BOXとスズキスペーシアといっていいだろう。2018年(暦年)の販売ランキングでは、国内販売の1位がN-BOXで、2位はスペーシアであった。

 新しいモデルほど進化して魅力的なのはわかってはいるが、この2台は2017年中にフルモデルチェンジしたため、先代モデルでもそれほど古くないので、旧型じゃダメなのか? と考える人が多いのも当然の流れ。

 本企画では、ホンダN-BOXとスズキスペーシアの先代モデルを現行モデルと比較しつつ改めて再評価。中古相場、買い得感、コストパフォーマンスを加味して、先代モデルの中古車を購入するのはありかどうかを渡辺陽一郎氏に検証してもらった。

文:渡辺陽一郎/写真:平野 学、HONDA


絶大人気を誇る2台の新旧比較

 現行N-BOXは2017年8月、スペーシアは同年12月に登場して、先代型から乗り替えるユーザーも多い。そのために中古車市場では、先代型のN-BOXとスペーシアの流通台数が増えてきた。

 中古車の流通量が増えれば、需要とのバランスで価格が次第に安くなる。これからはN-BOXとスペーシアの中古車を買うのに、ちょうどいい時期になるわけだ。

 また現行N-BOXとスペーシアの新車価格は、以前の軽自動車に比べるとかなり高い。安全装備などが充実して機能は優れているが、売れ筋の価格帯は両車ともに140万〜170万円に達する。

 軽自動車でありながら、価格はコンパクトカーと同等かそれ以上だ。中古車を検討するユーザーも多いだろう。

 そこでN-BOXとスペーシアの現行型と先代型を比べてみたい。違いをチェックして、少々無理をしても現行型を買うか、それとも先代型の中古車で充分なのかを判断してほしい。

日本で一番売れているクルマがN-BOXだ。先代モデルも大人気で、通常ならモデル最末期には販売を落とすが、現行がデビューする直前まで売れ続けたモンスター
スペーシアは2017年11月にフルモデルチェンジして写真の現行モデルに切り替わったが、エクステリア、コンセプトとも先代モデルからガラリと変わって大人気

ホンダN-BOXは現行型が買い得!?

 先代N-BOXは2011年12月に発売された。軽自動車だからボディサイズは基本的に現行型と同じで、全高が若干異なる程度だ。

 現行型は室内寸法を少し広げたが、先代型でも充分な余裕があった。後席は呆れるほどに広く、畳めば自転車も積める。車内の広さは、実用的には同程度だ。

 ただし後席のスライド機能には注意したい。先代モデルの前期型には装着されず、マイナーチェンジでオプション設定された。現行型は最初から採用している。

 前後席の座り心地は、現行型が快適だ。座面を柔軟に仕上げ、コンパクトカーと同等かそれ以上の居住性を得た。内装も現行型が上質だ。

先代N-BOXはカラーバリエーションも豊富で、多くのユーザーのニーズに応えた。これ1台でOKとユーザーに安心感を与えたのが勝因(写真:先代N-BOX)
ノーマルタイプとの差別化のためエアロパーツなどが装備され、高級感とスポーティさを両立していたのがカスタムで今でも人気が高い(写真:先代N-BOX)

 つまり車内の広さや積載性に大差はないが、質感に影響するところは現行型が進化させた。

 動力性能は車両重量の軽減もあって現行型が向上したが、大幅な違いではない。ノーマルエンジンでは差が分かるが、ターボは先代型でも充分な性能を得ている。

 走行安定性は現行型が高い。先代型は操舵感に鈍さが伴ったが、現行型は素直に曲がる。それでも街中を走る時は、先代型でも気にならない。

 乗り心地は走りよりも差が開き、現行型の快適性が際立つ。足まわりが柔軟に伸縮して路上のデコボコを伝えにくく、シートの造りが向上したことも、乗り心地を一層快適にしている。

 安全装備の違いはかなり大きい。先代型の緊急自動ブレーキは、センサーに赤外線レーザーのみを使う簡易型だ。歩行者を検知せず、車両に対する作動上限速度も時速30kmにとどまる。

先代N-BOXカスタムのインパネをはじめとするデザインの質感はライバルに対しても高く、人気の要因となっていたが先代はそれを凌駕するレベル(写真:先代N-BOX)

 いっぽう、新型にはホンダの小型/普通車と同様のホンダセンシングが採用された。センサーはミリ波レーダーと単眼カメラで、歩行者も検知して緊急自動ブレーキを作動させる。作動上限速度も高い。

 ホンダセンシングは運転支援機能も充実して、時速30km以上では、車間距離を自動制御して追従走行できるクルーズコントロールを使える。車線の中央を走れるようにパワーステアリングも制御する。

 安全装備と運転支援の機能は、今日のクルマが急速に進歩している技術だから、大きな差が付いた。

 JC08モード燃費は、標準ボディのノーマルエンジンで比べると、先代型が25.6km/L、新型が27km/Lだ。この差は大きくない。

 中古車の価格は、3年落ちの2016年式だと、標準ボディのG・Lパッケージが走行距離2万〜3万kmの車両で120万円前後だ。現行型のG・Lホンダセンシングが約150万円だから、約30万円の差額になる。

室内スペースは先代から定評があるとおり、今でも充分に満足できる空間。リアシートのスライドスライド機能は2015年より前のモデルにはない(写真:先代N-BOX)

 5年落ちの2014年式なら、走行距離が4万km前後のG・Lパッケージで90万円くらいだ。そうなると5年落ちが狙い目といえそうだが、後席のスライド機能をオプション設定したのが2015年だから、2014年式では非装着になってしまう。この選択が悩ましい。

 以上のようにN-BOXは、人気車とあって先代型の中古車も高値安定型だ。2016年式などの高年式を買うなら、新車の商談も行いたい。

 小型/普通車のように10万円を大幅に超える値引きは期待できないが、軽自動車では条件が好転している。

 N-BOXはホンダの主力車種で、新車販売されるホンダ車の30%以上を占めるから、好調な売れ行きを維持しなければならない。そのために相応の条件を引き出せる。

 また先代N-BOXが好調に売れたので、現行型も力を入れて開発した。快適性や安全装備にこだわると、現行型を選ぶ価値が高まる。残価設定ローンなど、いろいろな使い方ができるのも、新車を選ぶメリットになる。

 いっぽう、荷物の積載性や車内の広さだけを重視するなら、先代型でも充分満足できる。

室内の広さ、スペースユーティリティ、荷物の積載性を最重要視するなら、先代モデルの購入も充分にあるが、安全装備の充実を求めるなら現行(写真:先代N-BOX)

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