こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】ミゼットIIは存在感抜群の「アンダー軽サイズカー」

■リーズナブルだった点も親しみやすさをもたらした

 この小さな軽自動車は、「ミゼットIIが切り拓く新しい世界を、より多くの人に味わってほしい」というダイハツの想いから、極めてリーズナブルな価格設定で販売されていた。

 ベーシックなモデルのBタイプが46万9000円で、メッキヘッドライトハウジングやボディ色サイドスカート、ファブリックシートを装備した上級グレードのDタイプが49万2000円。さらに、スペアタイヤケースやフロントパンパーガード、リヤガードバー、スタイリッシュガードバーといったアイテムを備えたRタイプでも59万9000円という価格としていた。

 同時期にラインアップしていたミラの価格帯が50万円台後半から120万円だったことを鑑みると、ダイハツが「日本一安い価格帯」であることを自負していたことも頷ける。

前輪が運転席の前に装着されるセミキャブレイアウトによってハンドルの操作力が軽く、優れた小まわり性に貢献
前輪が運転席の前に装着されるセミキャブレイアウトによってハンドルの操作力が軽く、優れた小まわり性に貢献

 1996年から2001年という約5年の生産期間には、標準車のほかにもRタイプをベースにさらなる装備の充実化を図った特別仕様車「Rリミテッド」や「アメリカンカスタム」、荷台部分に箱型の荷室を設けたバン型の「カーゴ」といった、持ち味の個性や利便性をアップデートしたモデルを市場へ導入している。

 軽自動車クラスに大きな話題をもたらし、発売当初は月販目標の1000台を超える受注を記録したが、ひとり乗りで用途が限定的であったことから販売は低迷。それでも5年間での生産台数は約1万4000台に達したと言われている。

 「ミニカーの新しい使い方や楽しみ方を創っていこう」というダイハツの提案を具現化したミゼットIIは、小さくて機能的で、社会に調和する軽自動車というクルマの存在意義を強く印象づけた。唯一無二の個性満点のキャラクターは根強いファンを生み、生産終了から20年以上を経た現在でも、中古車市場では新車時価格を上まわる相場価格で流通するほどの人気を維持している。

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