こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】ミゼットIIは存在感抜群の「アンダー軽サイズカー」

■軽自動車の枠にとらわれない自由なクルマ

 注目すべきは、そのサイズ。軽自動車が小さいとはいえ、1996年に実施された軽自動車規格の改定では、衝突安全性を高めるという目的で全長が3.4m、全幅1.48mにまで拡大されていた。

 ミゼットIIは、そんな軽自動車規格よりも全長で約50cm短い2700mm(Rグレードは2865mm)で、全幅は10cm小さい1295mmとなり、最小回転半径は3.6mを実現していた。

 見た目もじつに個性的だ。左右乗降性を考えてキャビンを小さくしてフロント部分を絞り込んだフォルムをベースに、ヘッドランプ、フロントフェンダー、スペアタイヤが飛び出したユーモラスなトライアングルスタイルは、コンパクトで機動性に優れた軽快なフットワークを表現したものだ。

 乗車定員が1名というのも既存の軽自動車とは明らかに違う特徴で、軽三輪だった初代を彷彿とさせる。ひとり乗りパッケージは、左右のドアからの乗り降りが可能で、交通量の多い道路に停車しても安全な左側から乗り降りできるなど、これまでにない機動性の実現に貢献。

外観は小さいからこそ愛らしく、親しみのあるデザイン。フロントに配置されたスペアタイヤやヘッドライトで独自性を主張
外観は小さいからこそ愛らしく、親しみのあるデザイン。フロントに配置されたスペアタイヤやヘッドライトで独自性を主張

 小さいクルマだからこそ、日常での使用にフィットした使い勝手にこだわりたいというダイハツの狙いが垣間見られるポイントだ。荷台長1145×幅1205×高170mmという、荷台スペース確保するためにスペアタイヤをフロントフード部に設置したのも、小さくても優れた使い勝手を実現するためのアイディアだ。

 エンジンは、EF型・直列3気筒OHCのキャブレター仕様を搭載。排気量は659ccで、最高出力31ps/4900rpm、最大トルク5.1kgm/3200rpmというパフォーマンスを発揮した。数値だけ見ると非力に感じるが、車両重量は、ハイゼットなどの軽キャブオーバー車と比べて約100kg軽い550kgとしているため、市街地走行では不満のないキビキビとした軽快な走りを実現する。

 小型で軽量なボディの恩恵により、燃費は60km/h定地走行燃費で24.5km/Lという、当時のダイハツがラインナップしていた軽バンや軽トラックの平均値に対して約20%上まわる性能を達成していた。

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