■前泊先の小樽で地元のソウルフードを食す
実は今回の旅で初めて知ったのだが、小樽には戦後間もなくあんかけ焼そばが登場し、繁華街で買い物した後に家族で食べるメニューとして普及していった、いわばソウルフードだとか。小樽で“焼そば”と言えば、ソース味のそれではなく、このあんかけ焼そばを指すのだそう。
市内には約80軒もの提供店があり、飛び込んだのが地元で人気の『中華食堂 桂苑』。
早速お願いすると、店員さんが「めん!」と厨房に注文を通すあたり、看板メニューだということがうかがえる。
間もなくやってきたのがこちら。具沢山な餡で麺が見えないほど覆われていいて、中から引き出してみれば、所々に強めの焼き色をまとった姿。これも小樽のあんかけ焼そばの特徴なんだとか。
トロミの強い餡と共に口へと運べば、鼻腔を抜けるたまらぬ香ばしさ。麺はカリッと焼かれた部分とモチっとした部分との食感のコントラストも楽しめる。
ちなみに、コク深いスープに皮がトゥルントゥルンのワンタンも隠れた名品で、ビールのつまみにも最高だ。その後はレストランで小樽ワインを飲み、良い気分で水面に建物が映る幻想的な夜の運河沿いを散策。翌日に備え早めにホテルへ戻り就寝した。
■朝8時から行列の人気店でついにウニを実食!
さて、いよいよ当日。ホテルを6時半にチェックアウトし、車を走らせ向かったのが積丹町のはずれにある『みさき』という店だ。
数ある店の中から、こちらを選んだのには訳がある。まず、ウニ漁師が営む店だということ。早朝の漁でウニを捕り、すぐさま殻から剥いて提供してくれる。
そしてもうひとつの理由が、バフンウニを食べられるから。積丹でも漁獲量が多いのは、ムラサキウニで、バフンウニは希少なのだ。この店でもバフンウニは数に限りがあるらしく、オープン前から並んで確実にゲットを目指そうというわけ。
到着したのはオープン1時間前の午前8時。にも関わらず、すでに店の前には30人ほどが列をなしていた(!)。その列は徐々に伸び続け、オープンの頃には50名ほどが行列。
開店後は、先頭のお客さんから順次案内され、われらの番がやってきたのが9時40分頃。回転はそれほど悪くない。
食券を購入して席に座ると、10分ほどでお目当てのものが運ばれてきた。その名も「赤・白 生ウニ丼」、お値段5950円!!
“赤”はバフンウニで“白”はムラサキウニ。ご飯の上を2種類のウニがびっしり覆っているではないか!
まずはムラサキウニから味を確かめてみる。ひと粒を口に含んだ衝撃と言ったら! 一瞬「?」と思ったほど、あっさりとした味わい。
水質の良い海をイメージさせるような、爽やかな磯の風味の中からあらわれたものは、すっきりとしたコクと穏やかな甘みとミネラル感。それまでウニの風味だと思っていたものは、クセや雑味によるものだったことを思い知った。
お次はバフンウニだ。こちらはムラサキウニよりも濃厚なコクが広がった。それは、どこかミルクを連想させるようなクリーミーな味わい。
コクも甘みも強いが、なんて言うか重さを感じるものではなく、あくまで軽やか。ワサビをつけると、その風味に負けてしまうほど繊細なものだ。
丼として温かいご飯と頬張ってみれば、一瞬にして米粒と混ざり合って消えていった。その口どけを例えるなら、薄く削った天然氷のよう。この儚さよ!
今まで食べてきたウニの味のどれとも異なる積丹のウニには、脳がバグるほどに衝撃を受けた!! 言葉で表現するならば、上品、ピュア、たおやか、清冽、そんなワードを並べるしかない。
これを知った今だからこそ、声を大にして言いたい。
「ウニ、大好物です!」
前述したように、積丹のウニ漁は8月末までなのでご注意を。今すぐ飛行機のチケットを予約して訪れたならば、きっとウニの新味を知ることができるはずだ。
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