初代プリメーラのようなスポーティセダンが今こそ必要だ! 中古車が高騰していない今こそ買い時!

■初代プリメーラの中古車相場は?

1994年の全日本GT選手権のエントリーを記念して1994年1月に発売されたプリメーラオーテックバージョン。180psのSR20DEチューンドエンジンや専用サス、グリル、スポイラー、205/50Rタイヤを装着。残念ながら中古車市場に流通なし
1994年の全日本GT選手権のエントリーを記念して1994年1月に発売されたプリメーラオーテックバージョン。180psのSR20DEチューンドエンジンや専用サス、グリル、スポイラー、205/50Rタイヤを装着。残念ながら中古車市場に流通なし

 そんなP10型プリメーラだが、中古車の流通量は非常に少なくなっていて、執筆時点ではわずか11台(日本全国)しかない、そのうちの一部を列記してみた。

●1990年式2.0Tm/走行距離4.9万㎞=支払総額90万円、車両本体価格68万円
●1991年式2.0T4/走行距離7.5万㎞=支払総額127万円、車両本体価格108万円
●1992年式2.0Tm/走行距離3.7万㎞=支払総額119万円、車両本体価格102万円
●1993年式2.0Te/走行距離14.4万㎞=支払総額87万円、車両本体価格68万円
●1993年式2.0Tm Lセレクション/走行距離3.7万㎞=支払総額109.9万円、車両本体価格89.8万円
●1994年式1.8Ci/走行距離8.6万㎞=支払総額79.8万円、車両本体価格64.8万円
●1994年式2.0Tm/走行距離不明(メーター交換車)=支払総額149万円、車両本体価格132万円
●1994年式2.0Te/走行距離8万㎞=支払総額117万円、車両本体価格98万円
●1995年式2.0Te/走行距離3.7万㎞=支払総額96万円、車両本体価格78万円

 中古車相場は車両本体価格別では45万円から上は132万円ほど、2Lモデルが主流で、1.8L、4WDの2.0T4は1台ずつしかない。走行距離も5万㎞以下が4台あり、ワンオーナー車もあった。

 新車登場から33年が経っているが、いわゆるネオクラと比べると、さほど高騰していないようだ。とはいっても2年前に調査した時は車両価格が25万~60万円で買えたので値上がり傾向にあるのは間違いない。

 筆者ならば5ドアハッチバックの英国産2.0eGTを狙うところだが1台も流通していなかったので、2.0Teの5万km以下、MT車だろうか。いずれにしても欲しい人は今のうちに急いだほうがよいだろう。

■初代プリメーラ発売当時の評価はどんなものだったのか?

プリメーラデビュー号となった1990年3月10日号
プリメーラデビュー号となった1990年3月10日号

 ここで初代プリメーラのデビュー当時、どんな評価を受けていたのか? 1990年3月26日号で徳大寺有恒氏の評価と、1990年4月10号にライバル車とともに谷田部テストコースにてフルテストを行った模様(テスターは黒沢元治氏)を一部抜粋してお伝えする。

 まずは徳大寺有恒氏による初代プリメーラの評価から。

 プリメーラはまさしく西ドイツ車(当時は統合前)である。VWに慣れ、オペル、フォードに乗っていた人はプリメーラにまったく違和感はないだろう。

 それは実にしっかりとしたボディとキャパシティの大きなフロント、マルチリンクサスペンションに負うところ大である。

 もとよりプリメーラは日産がイギリスに持つ工場の次期モデルとして開発されている。もともとヨーロッパ向けのクルマなのだ。

 プリメーラの2L、直4DOHC4バルブエンジンは150psを発生し7400rpmまで回る。間違いなくパワフルだと思う。自然吸気の気持ちよさも充分感じられる。しかし、7400rpmの必要はない。6500rpmで充分である。それで低中速トルクを太らせたほうがこのクルマの思想に似合っていいだろう。

初代プリメーラとオペルベクトラCD、アウディ80
初代プリメーラとオペルベクトラCD、アウディ80

 日本で使うにはMTはややレシオが高く、ATはスロットルの動きに過敏にシフトダウン、アップを繰り返しすぎる。

 まあ、とにかく大いに早く、大した走りをすることは認めるが、私はむしろ1.8Lの110psバージョンのほうがこのクルマに似つかわしいと思った。

 ハンドリングだが、ステアリングフィールが大いによろしい。少々ステアリングが重いと感じるが路面のフィールをよく伝え、大きな角度を与えてもトラクションを残していることに感心する。

 しかしサスペンションは少々やりすぎと思うくらい硬い。80㎞/h以下ではハーシュネスを感じるのだ。ついでにいえば、シートも少々硬すぎる。バケットすぎるのも私は気に入らない。こういうクルマはもう少し“なまくら”で乗りたい。

 プリメーラは箱根を走るにはいいクルマである。ヨーロッパ車のようにシャープに走る。しかし、一般的なブレッド&バター的な仕様という範囲では、少々硬すぎて私は辟易としないでもない。

 まあ、これはユーザーのチョイスの問題だろうと思う、時間、距離という点では小さな部分だが、やる気になった時に重んじるか、それ以外の日常を重んじるかという選択だ。ここがこのプリメーラに乗るか否かの重要な岐路になる。

 プリメーラは日産のFFカーで初めてのハンドリングを持つクルマだ。特筆すべきことは接地性に変化の少ないサスペンション形式にある。ボディ剛性を上げ、さらにサスペンションの剛性をこれまでに考えられないほどの見直しをし、仕上げられたのだと思う。

インテリアは機能的でシンプルにまとめられているが、優れた居住性が魅力的だった
インテリアは機能的でシンプルにまとめられているが、優れた居住性が魅力的だった

 パッケージついていえば、ヨーロッパのオペルベクトラ、VWパサート、VWゴルフに比べるとまだまだアマい。

 特に気に入らないのはリアシートが低く落とされ、ストロークがないこと。もう30~40mm高くすれば問題ないものを。逆にいいのはリアシートのバックレスト。しっかり立っていて国産車がカタログの数字を稼ぐためにリアシートを寝かせているのとは好対照だ。

 トランクルームは広くて使いやすい。VDA方式で約480Lだそうだがそれもうなづける。

 パッケージを言うならシートとドアの隙間が少し広いのは無用のもの。もう少し縮めたほうがよかったと思う。こいつのスタイル優先に押し切られている。

 というわけでプリメーラはよいところも、足りない部分もはっきりしている。谷田部でのゼロヨン発進時のしっかり感や200㎞/hオーバー時の安定性はこのクラストップレベルの実力だと感じた。

 少々気になるのはシフトリンゲージの剛性とエンジンマウントの弱さのため、シフトフィールのダイレクト感がないことだ。そのためエンジン回転を上げるゼロヨン時の加速でシフトは少々やりにくい。走りの確かさや安定性はいままでの国産車を感じさせない素晴らしいものだ。

2.0Teのインテリア
2.0Teのインテリア

次ページは : ■1990年4月10日号で紹介した黒沢元治氏による評価

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