■1990年4月10日号で紹介した黒沢元治氏による評価
今回、谷田部で2回のゼロヨンテスト、外周を2周の最高速度テストを行った。テスト車は2.0TeのMT車、0~400m加速は15秒60、最高速は215.3㎞/hであった。
ゼロヨンを終え、バンクの1000m地点を通過し、やや左にハンドルを切りながらブレーキングをした時の安定性は素晴らしいものがあった。
普通のFF車はフロントヘビーでリアが軽いため不安定になることが多いのだが、プリメーラはタックインせず、リアタイヤの接地が充分であることを感じさせたのだ。これはFF初のマルチリンクを採用したフロントサスペンションとともにリアサスペンションの設計も力を入れていることが伺えた。
SR20DE型2L、直4エンジンは150psと普通のレベルだが、サイズ的にはジャストパワーだと思う。
アウディ80 20EやオペルベクトラCDという西ドイツ車と比較したが、ボディの剛性感は最新ヨーロッパを超えていることは確実だ。高速安定性はアウディもベクトラもさすがドイツ車という性能を持っているが、プリメーラは本場ドイツ車を超える安定性と接地性のよいサスペンション、そして剛性や空力がその助けをしているように思える。
国産車のライバルとしてコロナSF-GやブルーバードSSS-Xを比較してみたが、やはりプリメーラの命ともいえる「走り」が圧倒的に優れている。高速道路での安定性、操縦安定性、さらにハンドリングはほかの2車よりも一段も二段も質のよさを感じさせる。
一般道や幹線道路をゆったりと走り時はやや硬いと思うかもしれないが、その硬さは単にスプリングが硬いのではなく、ボディの剛性から来ている。
ドアの開け閉めだけでもほかのクルマと違う質感を感じさせてくれる。そしてサイドガラスを途中まで開けたままでドアを閉めた場合でもこれまでにない質感の高さを感じた。
プリメーラは高速コーナーをスポーツカーのように走り、S字の左右移動でも剛性不足によるヨレや不具合は少しも感じない。
今までの国産セダンと違っているのはロール剛性が高いこと。プリメーラのコーナリング中のロール角はとても少なくすこぶる安定しているのである。
■日産プリメーラ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4400mm×1695mm×1385mm
●ホイールベース:2550mm
●車重:1200kg
●エンジン:直列4気筒DOHC、1998cc
●最高出力:150ps/6400rpm
●最大トルク:19.0kgm/4800rpm
●燃費:11.4km/L(10・15モード)
●価格:206万5000円(1990年式2.0Ts 5速MT)
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というわけで発売当時の評価は予想以上に高いものだった。中古車価格に関しても一時期に比べると上昇傾向にあるものの、暴騰しているわけではないことがわかった。
改めて今、日本車のセダンでこれほど評価されているクルマはあるのか、と見渡してみると残念ながら、ない。
初代プリメーラをもう一度、じゃないが、世界に誇れるセダン(サイズは小さく)をぜひ今こそ作ってほしいものである。
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コメント
コメントの使い方この車、足まわりは凝ってましたが耐久性が他社と比べて低かった記憶があります。もっともこの当時の 日産車は似たり寄ったりで、トヨタ車の足回りが新車で80点、10万kmで80点なら 日産車は新車で100点、5万kmで50点、10万kmで0点。ヘタったり壊れたりが早かった。整備士界隈では「技術の(低い)日産」と呼んでいましたw
今と何ら変わってないんですね
トヨタ以外を選ぶ理由がない