■スケジュールは大幅遅れ! でも自由なキャンピングカーだからOK
しかし、そんなキャンピングカーの人気モデルのベース車だけに、日本国内では引く手あまた。正式発表前から情報収集していたものの、インポーターのステランティスジャパンでもクルマが確保できず、日本への輸入も計画が狂いっぱなし。
コロナ禍で本国イタリアのキャンピングカービルダーへも思うようにベース車が届かず、バックオーダーを抱えて納期は1年半待ちが当たり前とか。
そんな事態を打開してくれたのが名古屋のカーディーラー、ホワイトハウスだった。同社は愛知県でフィアットをはじめとする輸入車ディーラー、キャンピングカーディーラーとして数々の拠点を展開している。
特に大型店舗のオートプラネットは、輸入オートバイやATVなど扱い車種のほとんどを展示しており、休日ともなれば1日過ごせる「クルマ好きの遊園地」とも言われているほど。
しかもフィアットプロフェッショナルの正規ディーラー営業責任者の橘 久年氏が、「当社で見込み発注しているクルマであれば、比較的早く納車できますよ!」と助け舟を出してくれたのだ。
同社のように販売力の高いディーラーはユーザーからのオーダーとは別にあらかじめ発注しておき、クルマが届くまでに商談して売れることを見込んでいるのだ。
そんな有難い申し出を受けて、仮契約をしたのが2023年2月3日のキャンピングカーショーでのこと。その時点では4月末に日本に上陸するので、5月上旬には納車という見込みだった。しかしフィアットからの出荷が遅れに遅れ、日本に入ってきたのは6月下旬、納車は7月上旬までズレ込んだ。
それでも、ようやく手に入ったベース車両! さあ、ここからフル回転で製作して完成させて、日本1周の旅に出ようじゃないか。
■直線がない室内に驚愕! キャンピングカー製作の難しさを思い知る
ベース車両のフィアットデュカトは商用バンだが、そのまま使われることはあまりなく、目的に合わせてモディファイして使われる。そのため普通のハイエースバンなどと比べても、荷室には内装パネルなどの類は一切ないドンガラ状態なのだ。
そのためまずはボディパネル1枚のところに内側から制振材を貼ってその上から断熱材を貼り込んでいく。
だが見ると断熱材が薄い? これで断熱性能は十分なのか?
製作者曰く「分厚いグラスウールの断熱材は厚くて見た目は効きそうだけど、熱を溜め込む作用もあるので、それよりウレタンフォームの断熱材に、輻射熱反射するアルミ箔の薄い断熱材を使い、貼るだけじゃなく、内壁との間に空気層を作って、それを換気して排熱してやれば外板が高熱でも内壁まで熱は伝わらないから快適になるはず。住宅の通気工法断熱仕様と同じ構造をキャンピングカーに取り入れようと思っているんです」とのこと。
おお、それはおもしろいと思った。家よりも断熱性能が低いキャンピングカーの弱点が補えるかもしれないからだ。だが、実際に製作へと入ると、そこからがかなり苦労することに。
クルマの中って、直線部分がほとんどない。屋外の駐車場で作業しているから、地面が水平じゃない。内壁を仕上げるため、寸法を出すのも水平、垂直を確かめるのに苦労して、間柱とか梁を微妙な曲線にしなくちゃいけないから、仮止めしては修正しての繰り返しだった。
キャンピングカービルダーはあらかじめ採寸して部材をたくさん切り出しているから、こうした試行錯誤はないのだろう。素人のDIYではデータがないから、すべてイチから挑戦してノウハウを得ていくのだ。
しかも7月に入ってしまったので、とにかく暑い。早朝や夕方の作業時間を多めにして、熱中症対策をしつつ製作を進めるのだった。
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