【トヨタを上回るのも時間の問題!?】メルセデスベンツ車種増強が止まらない事情と戦略!!

販売台数は増えているのか?

 車種数が増えても販売台数が増えなければ、企業としてはまずい。というわけで2000年からの2018年の日本でのメルセデスベンツの販売台数(暦年)を振り返ると

2000年 5万1613台
2001年 5万3438台
2002年 4万7983台
2003年 4万5759台
2004年 4万4375台
2005年 4万6811台
2006年 4万9713台
2007台 4万6811台
2008年 3万7002台
2009年 2万8740台
2010年 3万936台
2011年 3万3212台
2012年 4万1911台
2013年 5万3731台
2014年 6万839台
2015年 6万5162台
2016年 6万7386台
2017年 6万8221台
2018年 6万7554台

 販売台数の推移を見ると、景気などの影響もあるにせよ「車種が増えた割りに販売台数は伸びていないのでは?」という時期も短くなかった。

GLAはAクラスベースのプレミアムセダンで、ワゴンのシューティングブレークもラインアップ(CLA180シューティングブレークAMGスタイル:428万円)

 しかし先代Aクラスが登場した2013年からはGLAやCLAといった派生車も牽引し販売台数が伸び始め、メルセデスベンツは2015年から4年連続で輸入車販売日本一の座に君臨している。

 このことからも車種を増やした効果はそれなりにあったといえそうだ(販売台数の中にはディーラー登録された在庫車が中古車市場に未使用車として流れたぶんも少なからずあると思われるが……)。

なぜメルセデスベンツは車種を増やすのか?

 車種数を増やすのは、一般的には保守的なイメージが強いのかもしれないメルセデスベンツであるが、実際には世の中の動きに敏感なメーカーだからだろう。

 例を挙げれば1995年登場のW210型のEクラスではそれまでの過剰品質から生産性なども考慮した合理化を行うという変化(弊害もゼロではなかったが)や、AクラスやML、Vクラスで参入していなかったジャンルに参入している。

 さらにCLSでは4ドアクーペ、GLCクーペでSUVクーペというジャンルを開拓するなど、ニーズに応えるだけでなくシーズも提案しており、メルセデスベンツは技術面だけでなく商品企画でも挑戦的なのである。

クーペルックのSUVはBMWが先鞭を付けたが、メルセデスはGLCクーペ、GLEクーペで新たなマーケットを築きつつある(GLEクーペ:896万〜1836万円)

メルセデスベンツがバリエーション展開を素早く増やせる理由

 新しいクルマの企画を考えたとしてもそれを市販化するには、現在と20世紀中に比べると俗に開発資源と呼ばれるヒト、モノ、カネ、時間は環境性能や安全性といった要件の増加や高度化により1.7倍程度必要とされており、特にヒトの確保が大変である。

 それにもかかわらずそんな状況下でなぜメルセデスベンツが素早く車種を増やせるのかというと、ベルリンの壁の崩壊後に育った東欧の人たちをエンジンニアとして確保し、開発資源を充分に持ったヨーロッパ開発圏による開発を行っているからだ。

 もうひとつは日本で販売されるメルセデスベンツにはあまり関係ないが、日産&ルノーアライアンスとの協業による車種もあることだ。

 具体的には現行スマートとルノートゥインゴは兄弟車で、ベンツ初のピックアップトラックであるXクラスは日産ナバラ(以前のダットサントラックに相当)がベースとなっている点などが挙げられる。

メルセデスはスマートについては効率重視で、他メーカーと積極的にコラボを展開していて、現行モデルはトゥインゴと兄弟車(フォーフォー:285万〜318万円)
メルセデスベンツはラインアップを増強しつつ、伝統のあるSクラス、Eクラス、Cクラスが健在というのがすばらしい(Sクラスセダン:1138万〜3427万円)

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 メルセデスベンツは2018年の生産台数では約244万台という決して大きなメーカーではないが(日本メーカーではマツダ約160万台、スズキ約344万台)、改めてみると技術面だけでなく商品企画などでも凄いメーカーであることを痛感する。

 今の勢いを見ていると、メルセデスベンツは今後も日本車のシェアを奪っているジャンルすらある日本の輸入車市場はもちろん、世界の自動車業界をリードするメーカーであり続けるに違いない。

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