今や日本では小型セダンは需要が少なく、ラインアップも激減してきている。カローラアクシオも次期モデルではカローラ史上初の3ナンバーサイズになるというし……。
そんななか、小型セダンが熱いシェア争いをしているのが教習車。教習車と言えば免許証を持っている人なら誰もがお世話になったクルマだ。
ここでは現在メインを張っている教習車用に使われている小型セダン、専用の小型セダンを集めてみた。
文:大音安弘/写真:MAZDA、TOYOTA、HONDA、SUBARU
みんながお世話になった教習車の最新事情
自動車免許を有する誰もが必ずお世話になるのが、教習車だ。一般的には、小型セダンであることが多いが、これには理由がある。実は、教習車には法的に定められた基準があるのだ。
「道路交通法施行規則」の第24条「技能試験」の項目には、普通免許の場合、「五人乗りの普通自動車で、全長4.4m以上、全幅1.69mm以上、ホイールベースが2.5m以上、トレッドが1.3m以上」と定められている。
つまり、5人乗りの5ナンバーサイズ以上の普通車でなくてはならず、いくら普及しているからといっても、軽自動車が教習車にはなり得ることはないのである。
このため、かつてはマークIIセダンやクラウン、セドリックなど5ナンバーサイズ枠上限に近いサイズのFRセダンであることが当たり前だった。しかし、これも時代の流れと共に変化。
近年は、乗用車の大型化に加え、FF車が主流となったこともあり、ひとクラス下のFFモデルが主流となった。そこで昨今の教習車事情を知るべく、最新のメーカー純正教習車を紹介していきたい。
マツダ教習車
マツダは、今年4月24日に、フルモデルチェンジを果たしたばかりの最新型の教習車だ。最大の特徴は、国内唯一の完全専用車となること。
新型は、アクセラセダンからマツダ2セダンへと変更。つまり日本には存在しない仕様なのだ。これは「アクセラ」が新型「MAZDA3」へと進化し、サイズアップしたため。
このモデルチェンジを機に、運転を覚える教習車としては、5ナンバーサイズのほうがベターと判断されたようだ。結果、全長4410mm×全幅1695mm×全高1480mmまでコンパクト化されている。
新ベースとなるマツダ2だが、これは海外向けデミオの名称。あちらでは、ハッチバックに加え、セダンが存在するのだ。このため、生産国もタイに。つまり輸入車なのだ。
その生産車に広島で架装することで教習車へと仕立てている。教習車専用アイテム以外のベース車との違いを尋ねると、クラッチの耐久性の強化、ヒルホルダー(坂道発進補助)の廃止、i-Stop(アイドリングストップ機能)の廃止、FGR(ギヤ比)の低速化(MT)だという。
従来型よりもコンパクト化したとともに大きく変化した点が、SKYACTIV化されたこと。パワーユニットは、1.5L直列4気筒エンジンのSKYACTIV-G1.5を搭載。最高出力107ps/6000rpm、最大トルク139Nm/4000rpmを発揮。
トランスミッションは、6速MTか6速ATと一気に多段化されており、もちろん、こちらもSKYACTIVだ。さらにGベクタリングコントリールまで搭載されているのは驚きである。
駆動方式は、FFのみで、アクセラ教習車では選択できたLPG仕様は設定されていない。ボディカラーは、有償色を含めると、7色と実に多彩。新生マツダを象徴するボディカラーのソウルレッドクリスタルメタリックやマシーングレーメタリックも選べる。
因みに名称は、シンプルにマツダ教習車に改められた。因みに、今回の教習車の中で唯一AM/FMラジオ+4スピーカーが標準化されているのも特徴だ。まぁ教習にはあまり必要ないのだが……。
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