クルマと道路は切っても切り離せないもの。交通ジャーナリストの清水草一が、毎回、道路についてわかりやすく解説する当コーナー。今回は大雪による首都高の対応策について、課題と今後のあり方などを考察していく。
文/清水草一、写真/フォッケウルフ、首都高速道路
■日本の大雪と中国の大雪
2月5日に首都圏に雪が降り、交通の混乱が起きたのはご承知の通りだ。
時をほぼ同じくして、中国でも大雪が降り、高速道路では、日本とはケタはずれの大混乱があった。中国の旧正月である春節(2月10日)直前、湖北省など華中地域に15年ぶりの大雪が降り、数十万台のクルマが高速道路で立ち往生したという。
2021年、日本の北陸道等で起きた立ち往生は約1700台。一方の中国は数十万台というのだから、本当に凄まじい。華中は比較的温暖な地域だけに、ドライバーは大雪に慣れておらず、除雪態勢も整っていないのは、日本の太平洋側と同じだろう。そこに大雪が降り、しかも春節寸前の里帰りの時期と重なったことで、このような事態となった。
しかも中国では、当局による救援らしい救援は、ほぼ皆無だったようだ。
中国メディアによると、立ち往生が始まってから6日経っても、数百kmの大渋滞が発生したままで、1週間近く車内で寒さと飢えに苛まれたドライバーもいた。「このままでは死ぬ」と、クルマを乗り捨て、徒歩で高速道路からの脱出を試みる人が続出したという。
日本で雪による立ち往生が発生すると、決まって沿道の住民や店舗から差し入れが行われたり、必死に除雪するNEXCO職員や自衛隊員などの心温まるエピソードがある。中国でも国営放送がその手の映像を流したが、中国のSNS上では、「いつものやらせだ!」という怒りの声が上がった。
助けを求める投稿も多数あったが、なにしろ中国は広い。周囲に民家すらない場所も多く、立ち往生の台数があまりにもケタ外れ。ほとんどのドライバーは、自己責任による決死の生き残り策を実行したようだ。
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