【七不思議のひとつ】ドアロック連動の給油口が日本車の主流にならない理由

レバー操作は面倒な行為ではない

 そもそも集中ロックは贅沢品で、今のようにどのクルマにも付いているものではなかったのです。現在はドア、リヤハッチ(トランクリッド)などが電動で集中ロックするようになっていますが、かつてはバキューム式といって空気圧を使っているものが主流でした。

 このバキューム時代はドイツの高級車などで使われていました。電動集中ロックのように「ガシャ」っと開閉するのではなく、「ヌルン」とゆっくり動くのが特徴でした。

レンタカーなどではレバーの位置がわからず苦労することも。レバーがないと困り果てていたら結局はドアロック連動式だった、ということもある

 電動集中ロックでリッドまで施解錠を連動させるにはリッド部分に電磁ロックの部品を追加しなければなりません。これはもちろんコストアップになります。

 輸入車に乗ったことがある人がこうした日本車に乗ると「なんでリッドが連動してないのだ?」と疑問に思うかもしれませんが、日本車にしか乗っていない人なら、手でレバーを引くのは大した手間と感じないのでしょう。

 そして、リッドまでを集中ロックにしてしまうと、前述のようにリッドを開くようにはできないという点も上げられます。

ホンダは2代目フィットでプッシュリフター式を初採用。日本車にも増えてきてる。欧州車にはこのタイプが多く、セルフスタンドなどでも使い勝手はいい

フューエルキャップはただの蓋じゃない

 ところでガソリンを入れる時にキャップを外すと「プシュー」という音を聞くことがあると思います。この音はタンク内の圧力と雰囲気の気圧が違うから起きることです。

 タンク内の圧力が高ければガソリンの蒸気が出てきますし、タンク内の圧力が低ければ空気を吸い込むので、そうした音が発生するわけです。

フューエルキャップは地味だが重要なパーツゆえ大切に扱いたい。コードでつながれているもの、キャップの裏に置き場所があるものが一般的になっている

 実はタンク内の圧力は厳密に調整されています。ガソリンが減ったときに空気が入っていかなければ、ガソリンタンクは凹んでしまいますし、逆に気温が上がり内圧が高くなったときに圧が抜けないとタンクが破裂する可能性もあります。

 ガソリンの蒸気は基本的にはチャコールキャニスター(チャコールではないキャニスターも存在します)という装置で回収されていますが、そこで回収しきれない場合にタンク内の圧力調整を行うのがフューエルキャップです。

 ガソリン蒸気を大気開放するのは環境上も安全上もよくありませんが、ガソリンタンクの圧力が破損レベルまで上昇してしまうのはもっと歓迎しない事態なのです。ですから何かがあればキャップ部分で対応するというわけです。

 キャップは単なるフタとしての役目以上のものを担っていますので、雑にあつかったりしないようにしましょう。給油の時に不安定な場所(タイヤの上)などに置いたりせずに、キャップ置き場を利用しましょう。落としたり汚れたりすることはよくありません。

 また、キャップをなくした(だいたいの場合はガソリンスタンドに置き忘れる)ときは、間違って別のキャップをつけないことも大切です。キャップはそれぞれのタンクの容量や構造に合わせて設計されているからです。

日産は現行セレナでキャップレス給油口を初採用。ノズルを差し込むだけで給油ができる便利さが売りだが、差し込み方、抜くタイミングなどシビアな面もある

 最近はキャップレス給油口というものも増えてきました。これはフューエルリッドを開けると、シャッターのついた給油口が現れ、そこにノズルを差し込んで給油するようになっています。キャップがないことでガソリン蒸気の大気開放が減るほか、給油時に手が汚れることも防げる。

 キャップのつけ忘れがない……などのメリットがあります。デメリットしてはコスト高でしょうが、これは量産効果で下がっていき、今後は主流となっていく可能性があります。

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