【ノート、ブルーバード、エルグランド…】トヨタ車に勝った日産車

初代シーマ

販売期間:1988~1991年

 今につながる「ビッグカー」の時代を築いた高級車がシーマである。鮮烈なデビューを飾ったのはバブル前夜の1988年1月だ。

 時代に先駆けて3ナンバーのワイドボディを採用し、エンジンは3LのVG30DE系のV型6気筒DOHCを搭載する。

イケイケの日産の象徴がセドリック/グロリアから派生したシーマ。500万円オーバーのトップグレード、タイプIIリミテッドが飛ぶように売れた

 フラッグシップに据えたのは3LのVG30DETT型V型6気筒DOHCインタークーラー付きハイフローセラミックターボで、その当時の日本車として最強スペックを誇った。

 販売価格も強気で、トップグレードのタイプIIリミテッドは500万円の大台を超えていた。

 プレミアムセダンの分野はクラウンの独壇場だった。セドリックとグロリアの連合軍でも販売台数は及ばなかった。このクラスは年間3万台市場で、その半分以上をクラウンが占めていた。

 が、シーマは定説を覆し、爆発的に売れた。しかもタイプIIリミテッドがダントツの販売台数を誇ったのだ。マスコミは驚き、これを「シーマ現象」と呼ぶようになった。

 押しの強い専用のワイドボディを採用し、走りもスポーツモデルを凌ぐほど速い。加速するときは、リアをグッと下げてスピードを乗せていった。

 そして快適だ。だから売れたのだろう。その当時トヨタの社長だった豊田英二氏は「ウチにはこういうクルマはないのか」と歯ぎしりしたと伝えられている。

いつかはクラウン、というキャッチコピーのとおり、日本人の心というべきクルマのクラウンがシーマの攻勢により一時的ではあるが窮地に立たされた

初代エルグランド

販売期間:1997~2002年

 1BOXのキャラバンとホーミーを祖とするフルサイズのプレミアムミニバンがエルグランドだ。誕生は1997年5月である。1BOX譲りの広々としたキャビンが自慢で、3列目でも快適だった。快適装備も高級セダンと遜色ない。

 パワートレインは3.3LのV型6気筒ガソリンと3.2Lの新世代ディーゼルターボだ。どちらもパンチがあり、多人数乗車のときでもロングドライブを苦にしない。ストレート基調の力強いデザインも好評を博した。

Lクラスミニバンという新ジャンルを開拓したのが初代エルグランド。今のオラオラ系に比べるとおとなしいが、当時はかなり押し出しの強い顔だった

 ライバルはトヨタのグランビアである。エルグランドが登場するまで、グランビアは最上級ミニバンのトップの座にあった。

 エンジンは3Lがディーゼルターボ、ガソリンエンジンは2.7Lの直列4気筒だった。スムーズで静粛性も高いVG33E型エンジンと比べると洗練度が低かった。

 また、ディーゼルターボも実力差が大きく、走りの実力もエルグランドに軍配が上がった。直結4WDモードを備えたオールモード4×4を設定し、上級グレードは先進的な電子制御アクティブダンパー・サスペンションが奢られていた。

 デザインもよかったから発売されるやグランビアを抜き、プレミアムミニバンの販売記録を塗り替えている。

 2002年にモデルチェンジしたが、最後までグランビアを寄せ付けなかった。トヨタは悔しかったのだろう。エルグランドを徹底的に分析し、トヨタ車体と共同で新世代のミニバン、アルファードを開発したのである。

エルグランド人気を脅威と感じたトヨタはグランビアのマイチェンを機に兄弟車のグランドハイエースを追加するがエルグランドの勢いは止められず

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