■ベースモデルの基本性能を踏襲してスマートに乗りこなせる
スタイルや機能面でサイバーぶりをアピールして異彩を放っているが、走行性能においては、特別に非凡な特徴は持ち合わせていない。とはいえ、メカニズムはヴィッツ(初代)をベースにしていることからコンパクトカーとして優れた基本性能を有している。
搭載エンジンは2WD車が1.3Lで、4WD車には1.5L。いずれも低・中速域での力強いトルクが確保され、エンジンの出力特性に合わせたフレックスロックアップ領域の最適化を図った4速ATを組み合わせることで、市街地走行をスマートにドライブできるうえに燃費性能にも満足できる。
足まわりはフロントがマクファーソンストラット式、リアにトーコレクト機能を備えたイータビームを採用。4WD車ではリアにラテラルロッド付4リンク式のサスペンションとなる。独自の外装としたことによってベース車よりも車重は増加しているが、それが走りに影響を及ぼすことなく、前後にスタビライザーを標準装備したことなども相まって優れた操縦性と走行安定性を実現している。
車両価格は、2WD車が126万円、4WD車で148万円と抑えた設定とし、さらに目玉装備であるG-BOOK普及促進を図るべく、サービスの利用料が6カ月分無料となる期間限定のキャンペーンを実施。
お得感を強く訴求するだけでなく、携帯電話やパソコンを用いたコミュニケーションに慣れ親しむ、若いユーザーの価値観や購買行動に合わせた買い方を提案していたこともWiLLサイファならではの新しさと言っていい。
WiLLサイファはG-BOOKをトヨタ車として初めて搭載したことで話題となり、他のメーカーも独自の車載情報通信サービスを展開するきっかけになった。WiLLサイファ以降、G-BOOK利用者は着実に増加したが、その後の携帯電話が著しく進化したことも影響し、現在のコネクテッドカーほどに浸透しなかった。
しかし、斬新なカタチのみならず、通信機能を有したコンピュータをセンターコンソールに埋め込んだような作りによって「未来のクルマってこうなる」を夢想させるとともに、カボチャの馬車、ステルス戦闘機と称された他のWiLLシリーズと同様に、多くのユーザーをワクワクさせた。
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