新車が高くなった印象が強くなってしまった昨今、「買える価格帯にワクワクする車がない!」と頭を悩ませている車好きも多いだろう。
そんななか、本稿の筆者(鈴木直也氏)が本気で欲しいと考えているのがスイフトスポーツ。いわく「安全装備つけたって車両価格200万円だからね! 走って楽しいし、これって物凄くコストパフォーマンス高くない!?」とのこと。
たしかに、車が高いだなんだ言われるなかで、このコスパは感涙もの。まさに車好きに一筋の希望を与える1台と言っても過言ではない。
そこで、本稿ではスイフトスポーツを筆頭に、200万円台で狙える魅力的なモデルを計7台を紹介。よくよく探せば、この価格帯の「安くて楽しい車」の選択肢は、意外にも豊富だ!
文:鈴木直也、斎藤聡
写真:編集部
ベストカー 2019年8月26日号
圧倒的に「安くて楽しい」スイフトスポーツ

今、国産でリーズナブルな価格で楽しいMT車というと、スイフトスポーツ、カローラスポーツ、ロードスターあたり。この3車の中では、コスパの点でスイスポが圧倒的に魅力がある。
だって、考えてみてほしい。6MTモデルの価格は183万6000円。
これにカーテンエアバッグ、サイドエアバッグ、デュアルセンターブレーキサポート、さらに誤発進抑制機能、車線逸脱抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト、アダプティブクルコンなどがパッケージで装着される「セーフティパッケージ装着車」にしても価格は192万2400円。
これって超お買い得じゃあありませんか!? スイスポはカーナビレス、オーディオレスが標準なので、後付けでお安いカーナビやオーディオをつければいいし、ディーラーオプションならば10万円以下でつけられる。
970kgという軽いボディがもたらす軽快なフットワークはスイフトスポーツの大きな魅力だ。スズキの軽量化技術は高価なアルミやカーボンなどを使うことなく、車体構造を見直すことで実現している。軽自動車開発で培った技術が存分に活かされている。
スイフトの魅力は、とにかく軽量でフットワークも身軽なこと。
搭載エンジンは1.4Lターボで140ps/23.4kgmなので、エンジンパフォーマンス自体にはまったく不満ないし、海外向けのワイドトレッドボディを使っているため、5ナンバーサイズボディだった旧型よりシャシーもレベルアップ。
ちょっと荒っぽさを残した旧型スイスポもホットハッチの雰囲気で悪くはなかったが、トータルでは現行型のほうが圧倒的に洗練されていて、ファントゥドライブ性も高い。
新古車で俄然「安くて楽しい」感高まるBMW 1シリーズ

ところが、そうこうするうち、スイスポ熱を一気に冷ましかねない強力なライバルが現われた。惜しくもMTは選べないのだが、BMW118dがボクの中で赤丸急上昇してきたのだ。
現在(編注:2019年7月時点)新車で買える118dは『ファッショニスタ』なる限定車で407万円もするので、これではスイスポ熱を冷ますにはちょっと高価すぎるのだが、BMWのディーラーに行くと118dの登録ずみ未使用車、いわゆる“新古車”が大量にあって、これが280万〜290万円でボディカラーも選び放題。こうなると俄然『安くて楽しい』感が高まる。
なにしろ1シリーズは本国では新型が登場して次期型はFF。後輪駆動のコンパクトBMWを味わえるのは今がラストチャンス。
乗ってみると設計自体は古くてもやっぱりBMWなんだよねぇ。フリクションを感じさせないスムーズな操舵感や、後輪駆動がもたらす走りの質感はスイスポでは味わえないものだ。
う〜ん、これはある意味嬉しい悩み。でも、よくよく調べてみると国内で買える「安くて楽しいクルマ」は、まだまだたくさんある。
【鈴木直也】
200万円台で狙える! 安くて楽しい車 5選
改めて250万円あたりを上限とした車を探してみると、楽しい車がとても多い。
最初は操縦性で選ぼうかと思ったのだが、そうすると個性豊かな走りの楽しい車たちを網羅できないので、いくつかジャンル分けしてそのなかから代表となる5台を選んでみることにした。
■ロードスター/255万4200円(S)

まずは、走り代表でロードスター「S」。
ピュアスポーツでありながら、速さを評価軸にしない奥ゆきの広さがこの車の魅力。というわけで代表に挙げた。
このクラスには、FRで走りが楽しい86/BRZ、軽自動車ながらミドシップカーのテイストが楽しめる希少車S660、エンジンコンバート+マニュアルミッションで刺激的な走りが楽しいノートとマーチNISMO S。
それにカタログモデルながらチューニングカーに匹敵する刺激を持ったスイフトスポーツ、決して尖ってはいないのにマニュアルミッションを駆使して走るのが楽しいカローラスポーツ1.2Lターボ「G“Z”」もある。
■ジムニー/158万2200円(XL)

ジムニーは、本格4×4の魅力を持った軽自動車。今回のモデルチェンジで4×4の基本形を保ったまま、乗りやすく熟成度を高めてきた。
乗用車のシエラと合わせ、このサイズとこの値段で本格4×4のラングラーやゲレンデバーゲンの世界を楽しめるのだから、オフロードでの走りの楽しさを持ったジムニーは外せない。しかも、軽量なだけに走破性は本格4×4を凌駕する場面も……。
■マツダ3/247万円(20S プロアクティブ)

マツダ3はできのいい乗用車代表。
アクセラ改めマツダ3として新たに登場したこの車です。セダン「20S PROACTIVE」がイチ押しだが、ファストバックの「S15ツーリング」も外せない。
いずれも足回り、操縦性が優秀で、ふつうに走っている時に思いどおりに気持ちよく走れるのが凄いところだ。
このクラスではVWゴルフ、VWポロ、VW up!GTI、マツダ2、シビックハッチバック、スバルXVも魅力的なクルマとして挙げておきたい。
■RAV4/283万5000円(X 4WD)

RAV4は最近流行のSUV代表。乗用車のシャシーをベースにしたライトSUVだが、電子制御を駆使するとSUVはこれほど高い走破性を発揮する、という可能性を見せてくれた車だ。
ほかにもSUVは魅力的な車が目白押し。走りのテイストでCX-3ディーゼルX、CX-5 20S、刺激度でジューク16GT、走破性の高さでエクリプスクロスも挙げておきたい。
■ルノー トゥインゴ GT/229万円

ルノートゥインゴ「GT」は、ミドシップカーの走りのテイストをさりげなくコンパクトカーに取り入れた、一見地味、実は超絶マニアックな1台。
リアエンジンで、リア寄りの重量配分のためアクセルをフッと踏み込んだ瞬間、トンと後輪にトラクションが乗るのがわかる。
ちょっと古(いにしえ)の車に乗っているようなおかしさがある。スマートフォーツーブラバススポーツは姉妹車。ノスタルジックなクルマという分類でミニやフィアット500もこのカテゴリー。
……といった、かなりいい加減なカテゴリー分けだが、エントリーした大半を楽しい車として挙げているように、今250万円クラスは、さまざまな走りの楽しさを持った車がたくさんあり、文字どおり走りの楽しさ百花繚乱状態。
自分の好みで車を選べば、あなたにピッタリの走りの面白さを持ったクルマが選べると思う。
【斎藤聡】