こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】CX-7はクロスオーバーSUVの黎明期にマツダが作り上げたZoom-ZoomなSUV

■ドライバーが思いのままに操れる爽快なドライビングを実現

 それまでのSUVの概念を覆すエキサイティングな運転感覚の実現が、もうひとつのキーバリューであるダイナミックパフォーマンスにつながる要素だ。

 エンジンは、直噴システムとターボチャージャーを組み合わせたMZR2.3Lを搭載。現在でこそ直噴エンジンは珍しいものではないが、当時としては燃料を筒内に直接噴射して筒内温度の上昇を抑制し、9.51という高圧縮比を可能にしたマツダの技術は、CX-7よりも先にマツダスピードアテンザやMPV、マツダスピードアクセラで採用され、大いに注目を集めた。

 MZR2.3L DISIターボエンジンは、2000rpm以下の低回転域からターボの過給効果が得られる特性によって、アクセルの踏み込みに素早く反応するとともに、最高出力238PSというパワフルな動力性能によって既存のSUVと一線を画す圧倒的な加速性能を発揮。スポーティな走りを存分に楽しめるのはもちろん、日常的な場面ではゆとりを持って運転できる扱いやすさも持ち味としていた。

 SUVながら爽快な操縦性が味わえたのも、スポーツクロスオーバーならではの特徴だ。特にステアリングの操作に対して安定性を維持しながら、正確に素早く応答するクルマの動きはSUVらしからぬもので、他のマツダ車に通じる走りのよさを体現していた。

 乗り心地についても従来のSUVからは想像できない高いレベルに達している。不快な突き上げ感が抑えられており、凹凸を乗り越えたあとに生じる揺れが一度ですっと収束する。スポーティ一辺倒ではなく、質感の高さへのこだわりが、市街地からロングドライブまで疲れにくい上質な乗り心地の両立を可能にしている。

運転席まわりは機能性だけでなく、ブラックを基調にシルバーメタリックの加飾を適所に配置することで、スポーティな雰囲気と上質感を両立している
運転席まわりは機能性だけでなく、ブラックを基調にシルバーメタリックの加飾を適所に配置することで、スポーティな雰囲気と上質感を両立している

 今でこそ、欧州車を中心にクーペスタイルのSUVが増えているが、CX-7はいちはやくそのカタチを具現化していた。デザイン、パフォーマンスなどあらゆる領域で常識の枠にとらわれることなくチャレンジした開発陣のこだわりは、あらゆる領域においてZoom-ZoomなSUVに相応しいスピード感、力強さ、しなやかさを感じさせてくれた。

 CXシリーズのトップバッターが具現化したスポーツクロスオーバーSUVのパフォーマンスやユーザーに提供した価値は、現在のCXシリーズにも息づいている。現在、マツダ製SUVであることを表す「CX」で欠番となっているが、クロスオーバーSUVが市民権を得た今こそ、新しい姿での復活を望みたい1台だ。

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