気分をスカッとさせる昭和のじゃじゃ馬[マーチスーパーターボ]は現代のGRヤリスより速い?【リバイバルBESTCAR】

■ハンドリングに難あり!

かなり強めのアンダーステアが出るという
かなり強めのアンダーステアが出るという

 しかし、ハンドリングは軽量、小型車らしい、フットワークのよさがまるでなく、ワィンディングを軽快に走ってごきげんな気分に浸る、というのにはほど遠いものだ。

 フロントにスタビを与えたのはいいが、こいつがいささか効きすぎのようで、かなり強めのアンダーステアをみせる。ハイパワー車ゆえ、これはこれで高速コーナーやストレートは安定感が高くていいだろう。

 が、このクルマでワインディングが軽快でなくしては、いったいなんだろうと思う。しかもステアリングがめっぼう重い。スーパーターボにはハワーステアリング仕様が設定されてないが、これが強めのアンダーステアに加味されて苦労するのだ。

 ビスカスの付いたLSD付きのハイパワーFF車だ。パワーステアリングはぜひともほしいしステアリングの応答性もいいとはいえない。とくに低中速付近での遊びが大きく、接地感にリニアリティが乏しいのである。

 そんなわけでワインディングでは、ステアリングとの格闘に尽きるといっていい。ボクの腕力でなんとか調教はできたが、女性ではとても無理だろうし、それでもこのステアリングの重さを克服すれば、豪快にワインディングを攻めることができる。

 ヒルダウンはサニー系ツインカムと同サイズのディスクブレーキのおかげで、思い切ってブレーキングできるし、ヒルクライムはダブルチャージャーの強力なエンジンを駆使すれば爽快に上っていく。

 マーチ自体は発売以来すでに6年以上のモデルである。途中でターボは仕様が追加され、今回さらにスーハーターボが追加された。ボディにしろ、サスベンションにしろ、ステアリング系にしてももとは変わっていない。

 スーパーターボの強烈な走りを受けとめるだけのキャバシティはないと思うのだからこれでいいというわけではないが、日本で初めて、世界でもまれな強烈なスーバーターボエンジンを積むだけに、もう少しファンなドライビングが演出できるよう手を加えてほしかった。

全日本ラリーのベース車として1988年に登場したマーチR。Rのロゴマークが眩しい!!
全日本ラリーのベース車として1988年に登場したマーチR。Rのロゴマークが眩しい!!

 それにしてもなんとも強烈なスーパーターボであった。実をいうとこのボクはマーチRで今年のラリーを戦うことになった。

 ラリー仕様だけにバネ、ダンパー、スタビライザー、ブッシュ類に手を加えることができるが、上手なセッティングを施してチャンピオンを狙いたいと、気合いが入っている今日このごろである。もちろん、腕カアップのトレーニングは欠せない。

 ちなみに1989年3月26日号では谷田部テストコースでタイム計測を敢行。0~400m加速は15秒65と1.6Lターボエンジン並みのタイムを記録。これはランサーGSRの15秒51、レビンGT-ZXの15秒67だからその速さがわかるというもの。スターレットターボ

 最高速度計測だが、大径ターボを使っているだけに高速域に入ってもスピードは衰えず、188.90㎞/hを記録。1.3LターボのEP71スターレットターボの0~400m加速は15秒28、最高速度は182.90㎞/h。

■これ以上のじゃじゃ馬は現代には存在しない?

太巻きのハンドルとフロントローバックのバケットシートを装着
太巻きのハンドルとフロントローバックのバケットシートを装着

 発売当時のマーチスーパーターボに試乗したが、覚えているのは、スーパーチャージャーからターボヘのつながりもよく、シフトアップしても過給圧が落ち込むこともなかったこと。5速MTと標準装備のビスカス式LSDを介しての走りはまさに“じゃじゃ馬”だった。

 こんなクルマはほかにあったっけと、1990年代、2000年代、2010年代、そして2020年代を振り返ってみた。EP71スタタボ、ミラージュサイボーグ、フィアットウーノターボアバルト、ルーテシアRS、アフィアット500アバルト……、う~んなんか違うな。

 マーチスーパーターボ以上のクルマは、ほかにないかなと思ったが、GRヤリスが唯一、マーチスーパーターボを超える存在か。アクセルをベタ踏みしていった時の体感的な速さ、加速フィールはGRヤリスのほうが勝っている。とはいえ、値段が違い過ぎるし、改良型GRヤリスはいまや304psだから比べるクルマじゃない……。

 で、現在、マーチスーパーターボは買えるのか? 大手中古車検索サイトでマーチスーパーターボの在庫を探したが2台しか流通していなかった。車両本体価格は130万円と、254万円。254万円のほうは5.8万kmでエンジンオーバーホール済みの個体だった。かろうじて生き残っている程度だが、機会があればまた乗ってみたい!

■マーチスーパーターボ主要諸元表
ボディサイズ:全長3735×全幅1590×全高1395mm
ホイールベース:2300mm
車両重量:770kg
エンジン型式:MA09ERT
エンジン形式:直4SOHC+スーパーチャージャーターボ+ターボ
排気量:930cc
最高出力:110ps/6400rpm
最大トルク:13.3kgm/4800rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/トーションビーム
タイヤサイズ:175/65R13
価格:130万8000円

【画像ギャラリー】気分をスカッとさせる昭和のじゃじゃ馬[マーチスーパーターボ]は現代のGRヤリスより速い?【リバイバルBESTCAR】(8枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

SCOOP総集編やZ NISMOなどのゼロヨンテストで、夏い暑も吹っ飛ばせ(!?) これを読めばクルマ界の将来丸わかり!「ベストカー9月26日号」

SCOOP総集編やZ NISMOなどのゼロヨンテストで、夏い暑も吹っ飛ばせ(!?) これを読めばクルマ界の将来丸わかり!「ベストカー9月26日号」

暑さ吹っ飛ばす灼熱ゼロヨンテスト、敢行! 総勢55台が集まるSCOOP情報の総集編も堂々完成! 読んでるコチラも胸が熱くなる特集でお届け!