場外だけが築地じゃない。築地本願寺をはじめ、由緒ある建築物巡りも築地の楽しみ方なのだ。BCの姉妹メディア『おとなの週末』が、築地散策をもっと楽しめる、歴史的建造物や見どころ満載スポットをご紹介します。
撮影/浅沼ノア、取材/カーツさとう
築地本願寺には東西の文化が融合
築地といえば食の街!!というのが常識ではありますが、どっこい築地の魅力はそれだけではない。築地は戦前に建てられた歴史的建造物が、東京の中心地としては希有なほど残っている地区。なぜなら築地周辺には第二次大戦の東京空襲の被害を受けていない地域が多いのだ。
その理由は、築地(正式な町名は隣の明石町ですが)にある聖路加国際病院は、マッカーサーが信徒であったアメリカ聖公会によって設立されたからだそうな。
この話に付随するエピソードとして、昭和9年に日米野球の為に来日した大リーガーのモー・バーグ選手が実はアメリカのスパイで、聖路加国際病院の屋上から東京の地理を撮影し、それが東京空襲の資料となったという、スパイ映画さながらの話もあるのですが、それはまた別の話。
築地を代表する歴史的建築物といえば、なんといっても国の重要文化財に指定されている『築地本願寺』。仏教の源流・インドのみならず、東西の多様な文化をミックスさせた独特の本堂。
これはシルクロードを探検した大谷探検隊で知られる浄土真宗本願寺派門主・大谷光瑞氏と、インドやトルコ、中国に留学経験のある建築家で東京帝大名誉教授の伊東忠太博士の出逢いが生んだという。特徴的な外観だけではなく、内部の細かな意匠も息を飲む。
広大な境内にはカフェもあり、この地ならではのおかずなどが18品揃う『築地本願寺カフェTsumugi』の「18品の朝ごはん」(2200円)は必食!
寺に続いて素晴らしい教会建築もある。東京都選定歴史的建造物『築地カトリック教会』の聖堂は、ドリス式円柱が並ぶギリシャ神殿のような重々しい佇まい。江戸時代に使われた踏み絵のレプリカも展示された、教会の歴史を伝えるコーナーも勉強になる。
仏教、キリスト教と来たらトリはもちろん神道。築地場外の奥にある『波除神社』。築地市場のすぐ近くにあることから「鮟鱇塚」「海老塚」「玉子塚」「昆布塚」など、食材に感謝する石塚が多く建立されている。
そんな中でも築地にお寿司を食べにきた皆さんはぜひ『すし塚』を一度拝んでみてはどうでしょう?
大きな建造物以外の店舗や民家にも歴史的価値を持つ建築は多い。その代表が青銅に輝く『宮川食鳥鶏卵』。昭和初期の典型的な看板建築である。
そして建築物ではないが知ってほしいスポットを紹介。『名犬チロリ記念碑』だ。殺処分寸前に助けられ、高齢者や障害者を補助するセラピードックとして日本で初めて認定された、名犬チロリの碑だ。
さらにこの碑の発起人であり、セラピードック活動の日本トップが、世界的ブルースシンガーの大木トオル氏であることを知り、驚き感動。築地。驚きと感動だらけ。
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