WiLL VS
販売期間:2001~2004年
WiLLは世紀末から21世紀の初頭にかけて行われた異業種による合同プロジェクトだ。トヨタ、花王、アサヒビール、松下電器産業(現パナソニック)、近畿日本ツーリストなどが参加し、新感覚のものに興味を示すニュージェネレーション層をターゲットに商品を開発した。
トヨタのWiLLシリーズ第1弾は「かぼちゃの馬車」をイメージしてデザインされたWiLL Viだった。
これに続くWiLL第2弾が「VS」で、2001年4月に登場している。デザインにこだわり、イメージしたのはステルス戦闘機だ。だから精悍なフォルムだったし、インテリアにも強いこだわりを見せた。
指針の0が真下にくるメーターを採用し、ステアリングは操縦桿、シフトレバーはスロットルレバーをイメージしたデザインだ。
カローラのプラットフォームを採用し、エンジンは1.5Lと1.8Lを設定。1.8Lモデルには可変バルブリフト機構を盛り込んだ2ZZ-GE型スポーツツインカムも用意された。
男性ユーザーの取り込みを期待したが、個性の強いデザインと割高な価格がネックとなり、販売は不発に終わっている。
WiLLサイファ
販売期間:2002~2005年
WiLLシリーズの第3弾が、「ディスプレイ一体型ヘルメット」をデザインコンセプトに開発され、2002年10月に発売された「サイファ」だ。デザインも個性的だったが、それ以上に注目を集めたのは育てるクルマだったことである。
トヨタとしては初となる車載情報通信サービスのG-BOOK対応モデルで、カーナビを標準装備した。
また、一歩先を行くカーリースプランも用意していた。これを利用するユーザーは多かったが、採算割れとなり、3年あまりで頓挫した。
サイファも2代目のヴィッツが登場した2005年春に販売を打ち切っている。WiLLプロジェクトは新しい提案が注目された。が、価格が高かったし、実用性も高くなかったからファンは引いてしまった。日産のパイクカーのように、引っ張りダコにはならなかった迷車だ。
マークXジオ
販売期間:2007~2013年
2005年の東京モーターショーに参考出品したコンセプトカーの「FSC」をリファインし、2007年9月に発売したのがマークXジオだ。
上級ステーションワゴンのマークIIブリットは不発に終わった。そこでワゴン的な性格にミニバンの魅力を加え、後継車として送り出したのがジオである。
マークXは後輪駆動のFRが基本だが、ジオはFFプラットフォームを採用した。2列シートのほか、3列シート仕様があり、2列目に2人掛けの独立したシートを設定するなど、性格的にはオデッセイに近い。
新感覚のマルチパーパスカーを狙ったが、見事に空振り。好調だったのは最初の数カ月で、それ以降は販売が低空飛行をたどった。
マークXを名乗ったが、実際は格下に感じるFFのファミリーカーだったことが敗因のひとつ。デザイナーが意気込んだソフトムードのデザインもボテッと見えた。
3列目も窮屈で、長時間のドライブには耐えられない。高級ムードや押しの強さを期待するファンから敬遠され、2代目にバトンを渡すことなく消えている。
ミニバンがアルファードのような本格派に移っていたこともマークXジオがユーザーに響かなかった理由のひとつだ。
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