■デリカミニ対スペーシアギア
スペーシアギアは、デリカミニと同様、外観をSUV風に仕上げた。ルーフレールも装着され、デリカミニとの共通点が多い。
スペーシアギアのインパネは、デザインが立体的だ。特に注目されるのは助手席の前側で、コンビニ弁当を置ける大型トレイを装着した。その下にボックスティッシュが収まる引き出しとカップホルダーが備わり、最下段にはグローブボックスも装着される。助手席の下にも車外に持ち出せる大型の収納ボックスがあり、収納設備はデリカミニやN-BOXジョイよりも豊富だ。
前席の座り心地は、デリカミニとほぼ同じ水準になる。後席はスペーシアギアでは、座面の前端にマルチユースフラップを装着した。引き出すとミニバンのオットマンのようにふくらはぎを支えて、反転させると座面の上に置いた荷物が床へ落ちにくい。座面の長さはデリカミニやN-BOXジョイよりも長く、膝の裏側までサポートする。
ただしスペーシアギアの後席は、マルチユースフラップを装着したことで、少しデコボコしている。座面はデリカミニやN-BOXジョイよりも長いが、座り心地が快適とはいい難い。購入時には後席の座り心地を確認したい。身長170cmの大人4名が乗車した時の膝先空間は、握りコブシ3つ分だから、デリカミニと同等だ。
乗降性はデリカミニが優れる。後席に装着されたスライドドアの開口幅は、デリカミニは前述の650mmだが、スペーシアギアは600mmに留まるからだ。
荷室のアレンジは、後席を前側に倒すと座面も連動して下がり、自転車も積める広い空間になる。広さも含めて、デリカミニとスペーシアギアの荷室は似ている。
動力性能をノーマルエンジン車で比べた場合、デリカミニは実用回転域の駆動力が高い。スペーシアギアは高回転指向で、もう少し2500~4000回転付近の駆動力を高めて欲しい。デリカミニにも当てはまることだが、販売店の試乗車で登り坂を走り、パワー不足を感じた時にはターボを積極的に検討したい。
乗り心地はデリカミニが全般的に快適だ。スペーシアギアは少し硬さを感じる。街中の舗装が荒れた場所を時速40km以下で走り、突き上げ感が生じないか確認したい。
WLTCモード燃費をノーマルエンジン車の2WD同士で比べると、デリカミニは20.9km/Lで、スペーシアギアは23.9km/Lだ。スペーシアギアはデリカミニに比べて車両重量が70kgほど軽く、全車にマイルドハイブリッドシステムを搭載するため、燃費性能も優れている。
ノーマルエンジンを搭載する2WD同士で価格を比べると、デリカミニGの2WDは183万7000円で、スペーシアギアハイブリッドXZは195万2500円だ。
価格はスペーシアギアが高いが、マイルドハイブリッド、車間距離を自動調節できるクルーズコントロール、アルミホイール、右側スライドドアの電動機能、電動パーキングブレーキ、後席のマルチユースフラップなどを標準装着する。
デリカミニも価格が201万8500円のGプレミアムになると装備が充実するが、機能や装備と価格のバランスではスペーシアギアが買い得だ。
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