トヨタクラウン/2018年6月26日発売
■クラウンのエクボ(○なところ)
後輪駆動のLサイズセダンでありながら、国内市場を重視して開発された。したがって全幅は1800mmを超えておらず、2WDの最小回転半径も5.3~5.5mだから、Lサイズセダンの割りに運転しやすい。
現行型ではプラットフォームが刷新され、基本部分はレクサスLSと共通だ。走行安定性が優れ、スポーティグレードのRSが人気を得ている。
■クラウンのアバタ(×なところ)
従来型に比べると外観のデザインが大幅に変わり、クラウンらしさも薄れた。豪華指向の伝統的なグレードとされるロイヤルサルーンも廃止している。できればロイヤルサルーンを復活させてほしいと思うのは私だけだろうか。
全幅は1800mmだが、全長は4900mmを超えて、駐車時に気を使うことがある。またボディが長細く見えてしまう。
走行安定性が向上した代わりに、乗り心地も少し硬くなった。クルマの性格がメルセデスベンツに近づき、クラウンらしさも薄れた。
今後は優れた走行安定性と、クラウンのイメージに合った柔軟な乗り心地を両立させたい。
またV型6気筒3.5Lのハイブリッドはパワフルだが、車両重量も1860~1900kgに達する。高出力とボディの重さを受け止め切れず、走行安定性に不満を感じる場面がある。要はオーバーパワーなのだ。
■まとめ/1年経った再評価
昔のセダンでは、車内の広い実用的なボディが特徴とされた。しかし今は、広さを求めるなら空間効率が抜本的に優れたミニバンがある。SUVの車内も広い。もはや広さを求めてセダンを買うユーザーはほとんどいない。
そうなるとセダンのメリットは、優れた走行安定性と乗り心地になる。セダンはミニバンやSUVに比べると重心が低く、後席とトランクスペースの間には隔壁が設けられてボディ剛性も高いからだ。
現行クラウンは、今日的なセダンのメリットに注目して開発された。走行安定性を大幅に高め、セダンの価値を際立たせている。
ボディスタイルは6ライトと呼ばれる4ドアクーペ的なスタイルに変わり、ロイヤルサルーンも廃止して「ミニバン時代のセダン」に相応しい新しいクラウンを造り上げた。
このあたりをユーザーがどう受け止めたのか、注意深く見守っていたのだが、2019年1~6月の販売台数では2万1853台(対前年比+177.0%)を売ったのだから、ユーザーからの評価は高く、受け入れられた、と判断していいだろう。とはいえ、個人的には、やはり6ライトではない普通のセダンのスタイル、そしてロイヤルサルーンが欲しいと思っている。
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