ついに“ジャパン・パワー”がラリーの頂に復帰するまで、あと3カ月を切った。トヨタは、9月29日に正式発表した「ヤリスWRC」でWRC復帰初年度を戦う。
1990年代に4度のドライバーズチャンピオン、3度のメイクスチャンピオンを獲得するなどWRCで栄光を摑んだトヨタとしては18年振り、国産メーカーとしてはスバルの撤退以来、9年振りのWRC復帰となる。
この公開されたヤリスWRCは、7月に公開されたテスト車両とは異なる正真正銘の2017シーズン用だが、果たしてどんなマシンに仕上がっているのか?
ヤリスWRCを紐解くうえで鍵を握る大変革の規則とともにポイントを解説!!
文:国沢光宏/写真:ケニー中嶋
ベストカー2016年11月10日号
テスト車から変貌を遂げた実戦マシン
昨年1月の参戦発表後、決して順調でなかったトヨタのWRC参戦プログラム、今年の8月からイッキに歯車が噛み合いだしたという。
走ればトラブル出ていたテスト車も、来年1月のデビューに向け、仕上がりつつあるらしい。ということで現時点でわかっているヤリスWRカーについて分析してみよう。
まずボディワークだけれど、ほぼこのままと言っていいと考える。というのも9月に来年向けヤリスWRカーのFIAによる査察を受けており、OKが出たもようだからだ。
7月の時点ではリアウイングなど2017年の規定(後述)に合わない部分もあったものの、パリに展示された車両はクリアずみだという。
全般的な印象として「新しさはないけれど手堅くまとめましたね」。短い前後のオーバーハングが印象的だ。 2017年規定のWRカーで重要 になってくる空力はイギリスの風洞を使っている。トヨタの場合、F1参戦以後、現在もWEC車両で空力のデータを積み重ねてきた。
当初マキネンが「すべて自分でやりたい」と抱え込もうとしたらしく、このあたりもゴタゴタした理由だったが、今は空力とエンジンをトヨタ(ドイツにあるTMG=かつてはトヨタのF1活動も担っていた)が担当することになり、鋭意開発中。開幕戦 までに「恥ずかしくない戦力」を見せられるか?
写真を見て驚いたのは、マイクロソフトのステッカーである。 VWがレッドブル。 シトロエンはトタルという石油会社、ヒュンダイだとモービスというデンソーのような企業で、どれも「さもありなん」。
マイクロソフトとは、新鮮 だ。トヨタが本気でなければマイクロソフトだって乗ってこないだろう。現時点で何をするのか見えていないけれど、新しいことを考えてるのかもしれない。
上が今回公開されたヤリスWRCで、下が7月時点で公開されたテスト車両。比較すると、フロントのエアスクープやグリル形状などが違い、細部が変わっていることがわかる
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