スペック表には現れない企業の執念と情熱
そして最後に、最も大きな差となったものがある。それは「継続」である。ランサーエボリューションXを最後に三菱のモータースポーツ開発は事実上止まった。開発が止まれば技術も止まる。エンジニアの育成も、生産技術も、データの蓄積も失われる。
一方でスバルはWRXへ進化した後もニュルブルクリンク24時間レース、スーパー耐久、全日本ラリー選手権などへ参戦を続けた。勝つこと以上に、開発を続けることをやめなかったのである。
モータースポーツの世界では「一年止まれば十年遅れる」とさえ言われる。フェラーリがどれほど経営環境が悪化してもF1参戦だけは決して止めなかった理由も、まさにそこにある。継続こそが技術を育て、人を育て、企業文化を育てる。ランサーエボリューションとインプレッサWRX。
この2台は日本を代表する高性能四輪駆動車として数々の名勝負を繰り広げた。電子制御ではランサーが先を行き、重量バランスではインプレッサが優れていた。
それぞれに長所があり、それぞれに課題があった。しかし最終的な勝敗を分けたものは、スペック表には決して現れない。開発を止めない企業の意思、技術を積み重ね続ける姿勢、そしてモータースポーツへの揺るぎない情熱である。
クルマは1台だけで完成するものではない。その背後にある開発の歴史と、挑戦を続ける人々の取り組みがあって初めて本当に強い一台が生まれる。ランサーエボリューションとインプレッサWRXの戦いは、そのことを物語っている。
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